動けない日が、何日か続くことがあります。
そして、少し回復したとき。戻れません。
体は動くようになっています。時間もあります。それなのに、作業に手をつけられない。
私は発達障害の当事者で、在宅で作業をしています。止まること自体より、戻るほうが難しいというのが、長いあいだの実感でした。
この記事は、戻るためにやっていることの記録です。医学的な話ではありません。自分の場合はこうしている、という話として読んでください。

この記事に書くこと
- なぜ戻れないのか
- 止まる前にやっておくこと
- 戻る日にやること
- うまくいかなかった方法
1. 戻れない理由
「気力の問題」だと思っていました。 そうではありませんでした。
1-1. 何をやっていたか、分からなくなる
これがいちばん大きいです。
数日空くと、作業の途中だったことは覚えているのに、どこまで進んでいたかが分かりません。
ファイルを開いても、何を考えてこう書いたのか、思い出せない。
思い出す作業から始めなければならない。 そして、この「思い出す作業」が、いちばんしんどい。
1-2. 思い出すのに、頭を使う
再開そのものより、状況の復元にエネルギーを使います。
そして、戻ったばかりの自分には、そのエネルギーがありません。
結果として、開いて、少し眺めて、閉じる。 それが何日か続きます。
1-3. 空いた日数が、重くなる
もう一つあります。
「3日も止まってしまった」と思うと、その事実自体が重くなります。
取り返さないと、と思う。 そして、取り返そうとして、また倒れる。
1-4. 開くのが怖くなる
日数が増えるほど、開くのが怖くなります。
「どれだけ溜まっているか分からない」その不安のほうが、実際の量より大きい。
そして、開かない日がまた増えます。
2. 止まる前に、やっておくこと
戻るための準備は、止まる前にしかできません。
調子が悪くなってからでは、間に合いません。なので、いい日のうちにやっておきます。
2-1. 「次に何をするか」を書いておく
これが、いちばん効きます。
作業を終えるとき、次に何をするかを1行書いておく。
【いまここ】
・◯◯を直している途中
・次にやること:△△を確認する
・分からなかったこと:□□ 「何をやっていたか」ではなく「次に何をするか」を書くのが要点です。
前者だと、読んでもそこから考える必要があります。 後者なら、読んでそのまま手を動かせます。
2-2. 途中で止まる前提で、区切っておく
一度に全部やろうとしない。
作業を、それぞれ独立して終わる単位に分けておきます。途中で止まっても、そこまでは完成している状態にする。
「あと少しで終わるから」と続けると、その「あと少し」の途中で止まったときが、いちばん厄介です。
2-3. 軽い作業を、いくつか置いておく
戻る日の入口になります。
頭を使わない、5分で終わる、失敗しても影響がない作業。これをいくつか残しておきます。
いい日のうちに作っておくのがコツです。悪い日には、軽い作業を作ることすらできません。
3. 戻る日にやること

3-1. まず、メモを読むだけ
作業をしません。
さきほどのメモを開いて、読むだけ。 それで終わりにしていい日もあります。
「開いた」というだけで、次の日のハードルが下がります。
3-2. いちばん軽いものから
元のペースに戻そうとしません。
用意しておいた軽い作業を、1つだけやります。5分で終わるもので構いません。
進んだ量は、どうでもいい。 途切れていた状態が、途切れていない状態に変わったことが大事です。
3-3. 溜まったものを、先に数える
開くのが怖いときの対処です。
中身を見る前に、数だけ数えます。 「未読が5件」と分かるだけで、不安が具体的になります。
分からない量より、分かっている量のほうが、ずっと軽い。
3-4. 返せるものだけ、先に返す
内容に答えられなくても、受け取ったことだけは返せます。
ご連絡ありがとうございます。
確認しますので、少しお時間をください。 これを返しておくと、溜めている感覚が減ります。 そして、次に開くときのハードルが下がります。
3-5. 空いた日数を、数えない
「何日止まったか」を数えないようにしています。
数えると、取り返す方向に思考が向きます。 そして、また無理をします。
今日から再開する、という形にしておくほうが、続きました。
4. うまくいかなかった方法
試して、合わなかったものも書きます。
4-1. 予定を立て直す
戻る日に、これからの予定を組み直そうとしました。
できませんでした。 予定を立てるのは、頭を使う作業です。戻ったばかりの自分には、いちばん向いていません。
いまは、予定を立てるのは、調子が戻ってからにしています。
4-2. まとめて片づける
「今日で一気に取り返す」という戻り方も試しました。
その日はできます。そして、翌日また倒れます。
戻った初日に全力を出すと、戻った意味がなくなります。
4-3. 止まった原因を分析する
なぜ止まったのかを、そのつど考えていました。
分かりませんでした。 そして、考えること自体が消耗しました。
いまは、原因を探すのをやめています。 波はあるもの、として扱っています。
5. それでも、戻れない日はあります
工夫でどうにかなる範囲を、超えることがあります。
メモを開くこともできない。軽い作業もできない。そういう日は、あります。
そのときは、何もしません。
戻れないことを、失敗として数えない。 これは、いまも練習中です。頭では分かっていても、実際には焦ります。
そして、生活に支障が続くようなら、専門の方に相談する選択肢もあります。 工夫だけでどうにかしようとして、こじらせたことが、自分にもありました。
まとめ
- 止まること自体より、戻るほうが難しい
- 戻れない理由は気力ではなく、何をやっていたか分からなくなるから
- 思い出す作業に、いちばんエネルギーを使う
- 準備は、止まる前にしかできない。 調子のいい日にやっておく
- 「次に何をするか」を1行書いておく。 読んでそのまま手を動かせる形で
- 作業は、途中で止まる前提で区切っておく
- 軽い作業を、戻る日の入口として残しておく
- 戻る日は、メモを読むだけでもいい
- 溜まったものは、中身より先に数を数える。 分かっている量のほうが軽い
- 空いた日数を数えない。 取り返そうとすると、また倒れる
- 合わなかった方法:予定の立て直し/まとめて片づける/原因の分析
波は、いまもあります。
ただ、止まっている期間が短くなりました。 戻り方を決めておくと、戻るまでの日数が減ります。
それだけでも、続けられる理由になっています。


