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【難病患者が知っておくべきこと③】「特定医療費(指定難病)受給者証」申請とメリット・デメリット

医師による問診 生きづらさを抱えて
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これまでに、「難病」と「指定難病」の定義や違い、「特定医療費(指定難病)受給者証」の概要などを見てきました。

今回は、「特定医療費(指定難病)受給者証」を取得するための手続き方法、どれくらいの費用補助があるのか、メリット・デメリットなどを体系的にご紹介します。

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特定医療費(指定難病)助成制度とは

医療機関等で医療費を支払うとき、「特定医療費(指定難病)受給者証」があると所得に応じて医療費の助成を受ける事が出来ます。

医療費助成の対象者

医療費助成の対象となるのは、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。確立された対象疾病の診断基準とそれぞれの疾病の特性に応じた重症度分類等が、個々の疾病ごとに設定されています。

また、症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者でも、「軽症高額該当」基準にあてはまれば、医療費助成の対象となります(指定難病に係る月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が、申請月以前の12か月以内又は発症日が一年以内であれば発症月から申請月までに3回以上あること)。

申請の流れ、必要書類

パソコンと医師の手

自分の疾病が「指定難病」だからといって自動的に「特定医療費(指定難病)受給者証」が交付されるわけではありません。必要書類を揃えて、居住する自治体窓口に申請し、支給認定を受けなければなりません。内容次第では不認定になる場合もあります。

認定されない時、理由として考えられるのは以下の3つです。

  1. 指定難病の診断基準に合致しない
  2. 疾病の症状の程度が重症度分類を満たしていない
  3. 医療費が「軽症高額該当」の要件を満たしていない

申請から医療受給者証が交付までに、平均約3か月程度かかると言われています。その間に指定医療機関においてかかった医療費は(交付認定された場合は)払戻し請求をすることができます。

自治体ごとに必要書類が異なりますので、詳しくは居住の自治体窓口で要確認です。一般的には以下のようなものがあります。

  • 特定医療費の支給認定申請書
  • 診断書(臨床調査個人票):難病指定医に作成してもらう必要があります
  • 住民票
  • 世帯の所得を確認できる書類:市町村民税(非)課税証明書等
  • 保険証の写し

各人の状況に応じて必要になる書類

  • 人工呼吸器等装着者である旨を証明する書類
  • これまでの医療費について確認できる書類

有効期間

「特定医療費(指定難病)受給者証」の有効期間は、原則1年以内で、病状の程度・治療の状況から医療を受けることが必要と考えられる期間です。

有効期間が過ぎたあとも引き続き医療費助成を受ける場合は、継続申請が必要となり、上記に記した必要書類の提出が再度求められます。

公的負担の対象範囲

対象となるのは、「自治体が指定した指定医療機関(病院、診療所、薬局及び訪問看護ステーション等)」で受けた「指定難病についての」診察・検査・治療・看護等の費用(保険適用のものに限る)や、介護保険の訪問看護、訪問リハなどです。

なお、「対象の指定難病以外の」治療等、指定医療機関以外で受けた医療、差額ベッド代や食事代、保険適用外の費用やサービスなどは対象外です。

自己負担上限額(月額)

「特定医療費(指定難病)受給者証」自己負担限度額

  • 医療(介護)保険の患者負担割合が3割の方は、負担割合が2割に引き下げられます(患者負担割合が1割、2割の方は変更なし)。
  • その月の負担額が上記の表にある自己負担上限額を超える場合は、自己負担上限額までの負担。
  • 受診した複数の指定医療機関(薬局、訪問看護ステーション等を含む)で支払った自己負担、一部の介護保険サービス等を利用した時の利用者負担をすべて合算したうえで自己負担上限額(月額)を適用。
  • 「高額かつ長期」の認定を受けると負担割合が少なくなります:認定を受けて以降、指定難病にかかる医療費総額(10割分)が50,000円を超える月が年間6回以上で「一般所得」「上位所得」に該当する場合、申請により月額の医療費の自己負担が軽減される(申請を行った翌月から適用)。
  • 「人工呼吸器等装着者」とは:指定難病により人工呼吸器又は体外式補助人工心臓を一日中使用している方のうち、日常生活動作が著しく制限されると認められる方は、申請により自己負担上限月額が「1,000円」に軽減されます(申請を行った翌月から適用)。

指定医療機関とは

指定医療機関とは、自治体から指定を受けた病院・診療所、薬局、訪問看護ステーションのことです。指定難病の医療費の給付を受けることができるのは、原則として指定医療機関で行われた医療に限られています。

難病指定医とは

自治体から指定を受けた指定医に限り、特定医療費支給認定の申請に必要な診断書を作成することができますので、診断書を書いてもらうときには、指定医かどうか確認しましょう。

指定医には、新規申請及び更新申請に必要な診断書の作成ができる「難病指定医」と、更新申請に必要な書類のみ作成できる「協力難病指定医」の2種類があります。

受診時に提出する書類

指定医療機関を受診する際は、「健康保険証」「特定医療費(指定難病)受給者証」「自己負担上限額管理票」を受付窓口に提出しなければなりません。

自己負担上限額管理票には、各指定医療機関で医療費等を記載してもらいます。自己負担累積額が自己負担上限月額に達した場合は、その月には負担上限月額を超える費用徴収は行われません。

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特定医療費(指定難病)助成制度を使うメリット

診察を行う医師

その人の疾病の状況や居住自治体により、メリット・デメリットは異なりますが、ここでは一般的に考えられるメリットを書いていきます。

  • 医療費3割負担だった人は、2割になる。
  • 指定難病に係る治療費が高額だった人は、ひと月の負担上限額が所得に応じて0~最大30,000円までになる。
  • 所得が少ない人にとっては、負担上限額が大幅に抑えられる。
  • 障害者手帳が取得できない状況の人は、こちらの制度を使うほうが医療費負担が減ることがある。

特定医療費(指定難病)助成制度を使うデメリット

  • 認定を受けた指定難病に関する治療にしか適用されない。
  • 補助対象は、指定医療機関で受けた医療・介護に限定される。
  • 診察を受けるたびに「自己負担上限額管理票」への記入をしてもらわないといけない。
  • 1年に1回更新が必要なため、診断書、その他書類を揃えて提出する費用、手間、煩雑さが負担になる。
  • 指定難病を併発した場合、疾病ごとに申請が必要。

結局、申請する方が良いのか?

その人の疾病の状況や所得、居住自治体により異なる為、一概には言えないのですが、市町村主体の制度に「重度障害者医療受給者証」というのがあります。

重度の身体障害や知的障害がある場合が主な対象ですが、医療費が全額補助される自治体もあれば、一部負担金が必要な自治体もあります。

指定難病と関連のない診療に対しても対象となり、医療機関の限定も無い為、全額補助される自治体ならばこの「重度障害者医療受給者証」を使うほうが便利ということがあります。「特定医療費(指定難病)受給者証」は制約が多く毎年更新時の書類提出も負担が大きいためです。

私の難病は重度身体障害になる人が多いために、自治体の「重度障害者医療受給者証」を使う人が多いと思われます。それが、私の疾病の患者仲間たちが「特定医療費(指定難病)受給者証」を所持する人数が少ない理由のようです。

それから、「重度障害者医療受給者証」は、本人の所得が多いと受給者証が出ない場合がありますので、その場合は「特定医療費(指定難病)受給者証」を申請するほうが良いと思われます。

自治体によって仕組みや基準が異なりますので、お住いの地域にある難病情報センターなどで情報収集されることをお勧めします。

【参考リンク】
難病情報センターHPより「都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧」

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