ひきこもり体験談をご紹介している、くまたろうです。前回は、ひきこもりの初期状態をお話ししました。今回は中期をご紹介します。
私が体験談を共有するには、こんな想いがあるからです。
- 「ひきこもり」と無関係な方には、「ひきこもり」のことを知ってもらい偏見を減らしたい
- 現在「ひきこもり」の方には、自分はおかしな人だと思って欲しくない
- ご家族が「ひきこもり」の方には、接し方のヒントにしてほしい
ひきこもり中期が、ひきこもり始めて何年経つかは人によって様々です。ここでは中期をこのように定義します。
本人がひきこもりと自覚している
就労や他者との関わりに関心がなくなっている
ひきこもる方の心や行動を知ることで、適切な支援に繋がることを願います。そして、適切な支援があれば、ひきこもりに出口はあると信じています。
ひきこもり時代(中期)にとっていた具体的な行動
「ひきこもり」の中期段階では、こんな行動をとっていました。
- 起きている間は、ずっとスマホゲームをしている
- 着替えなくなる
- 髭を剃らなくなる
- 歯を磨かなくなる
- 嫌なことがあったら、家族に当たるようになる
- 突然怒り出す
一番の特徴が「支えてくれている身近な人への攻撃性」です。
暴力こそ振るわなかったものの、「突然怒鳴り出す」「物に当たる」などの行為を繰り返していました。今思えば、自分の気持ちをぶつけられる唯一の相手だったからでしょう。ポジティブに言い換えるならば、心を開いているとも言えます。
そして、衛生への意識が大きく下がることも特徴です。
身だしなみが整えられないことから、「他人に見られたくない」という気持ちが生まれます。ますます、ひきこもるという悪循環でした。
また、健康面にも影響が出始めます。私の場合はゲーム漬けの生活だったため、視力が大幅に低下しました。国内産のコンタクトレンズでは、合う度数がなくなるほど近視が進んだのです。その他には虫歯、著しい体力の低下などが現れ、「外に出たくない」のではなく「本当に出れない」体となってしまいました。
そのときの気持ち
次は、中期段階の心理状態をお話しします。当時、私はこんな気持ちでいました。
- もうどうでもいい
- (自分みたいな人間は)早く死なないかな
- 将来の話はしないで
- 何も考えたくない
- ゲームの邪魔をするな
- 歯が痛い、目が痛い、体が痛い
- ここまで深刻化したら、もう助からないだろう
- このまま自分はホームレスになるんだ
一言で言うなら「自暴自棄」です。
そして、現実逃避の手段として、何かに依存していくようになりました。私の場合はスマホゲームです。ゲームをしている時間が、辛い現実を忘れさせてくれる唯一の手段だったのです。
そして、その時間を少しでも邪魔されようなものなら、激しい怒りとなって家族に襲い掛かります。
少しゲーム依存の話に逸れますが、依存性の高いゲームがあります。先日、ゲーム依存のセミナーを受講して、初めて知ったことです。依存性の高いゲームには次のような特徴があります。
- ゲームの中に役割があり、達成感や承認が得られる
- 1人称視点のオンライン対戦ゲーム
これらは依存性が高く、攻撃性が現れやすいと言われています。例えば戦争ゲームなどがそれにあたります。私はそんな依存性の高いゲームに、寝食を忘れてのめり込んでしまいました。
その反面、「こんな生活が続くわけがない」という現実的な思考も持ち合わせていました。
「いつかは家族に捨てられる。そして住む家も失ってしまう」
「真冬はどうやって過ごそう」
「ホームレスになったら食べ物はどうしよう」
そんなことを真剣に考えていました。普通の生活を送る方は不思議に思われるかもしれませんが、「そうならないために生活を変えよう」とはならないのです。
ヒントになるようなお話
ここからは、乗り越えた今だからこそ思えることです。何かのヒントにして頂けたらと思います。
出来たこと(ここに注目し大きくしていくことが望ましいです)
- 少しの家事はできた(させられていた)
- ごくごくたまにする家族との談笑
- 興味あるゲームをする
出来なかったこと(ここに囚われすぎないことが大切です)
- 依存してしまっているゲームをやめる
- 外に出かける
- 将来のことを考える
- 仕事を探す
- 規則正しい生活を送る
したほうが良かったこと
- 家の中で役割を持つ
- 身だしなみを整える
- 家族との会話(関係)を大切にする
しないほうが良かったこと
- 家族に当たり散らす
- ネット検索のしすぎ(不安が増しただけ)
ゲームは依存状態となってしまいましたが、実はゲームを通して「何かに興味を持つ」きっかけにもなりました。
例えば「マイクラ」などの比較的穏やかなゲーム性で、創造性があるゲーム。それで遊んでいるときの私は、とても穏やかで楽しそうだったと家族は語ります。
そんな「マイクラ」から園芸に興味を持ったり、YouTubeで動画配信してみたいと、外の世界に興味を示すようになっていったのです。そして「インターネットの世界でできる在宅ワーク」という仕事に繋がっていくことになります。
「ひきこもってゲームなんてとんでもない!」家族がそう思ってゲームを取り上げていたら、今の私はなかったかもしれません。最悪の場合、関係がこじれていた可能性があります。
また、家事も非常にやって良かったと思っています。言い方は悪いですが、無理やりやらされていた家事のおかげで、家の中に私の役割が残されました。
それが人間らしさを維持させたと思っています。
「苦しかったら何もしなくていい」という対応をされていたら、本当に何もできない人間になっていたでしょう。
まとめ
中期の段階は、家族の疲弊や焦燥感がピークになってくる頃だと思います。
長期化していく可能性もあるので、家族が倒れないようにすることも大切なポイントとなります。具体的な対策としては以下のような方法があります。
- 適切な距離を取る(放っておかれたほうが楽なこともある)
- 家族は外に出て自分だけの時間を持つ
- 家族がひきこもっていることを、誰かに相談する
ひきこもり中期は1番長い期間となります。焦らず、ご本人との関係構築に重点を置きながら、「時を待つ」という姿勢も大切に思えます。
次回はひきこもり後期編です。抜け出す直前の状態ですが、ここも山あり谷ありです。
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