みなさん「ひきこもり」について、どれほどご存じでしょうか?私は5年間ほど「ひきこもり」をしていた経験者です。「ひきこもり」は生きづらさを感じている人だけの問題ではありません。
このカテゴリーでは「ひきこもり」経験者が、その経験からリアルな実態をご紹介していく予定です。そして、以下のようなことに役立てていただけたらと思います。
- いかにして「ひきこもり」を回避するか
- もし「ひきこもり」になったら
- どこに相談したらいいか
- 家族が「ひきこもり」になったら
- どのようにして抜け出せたか
- 抜け出したあとの生活は
第1回目は、「ひきこもり」の原因です。その経緯やポイントを3つお話ししたいと思います。
社交的でも「ひきこもり」になる
1つめは、私は社交的な性格にも関わらず「ひここもり」になってしまったことです。
「ひきこもり」と聞くと、陰気で引っ込み思案。コミュニケーションが苦手などのイメージを持たれるのではないでしょうか。結論からお話しすると「ひきこもり」は誰にでも起きる可能性があります。
少しだけ私の自己紹介をさせていただくと、私は学生時代は部活動に明け暮れ、学級員をやるような子供でした。大人になってからも友人は多く、毎週のように飲みに出かけては、そのお店で飲み仲間を作るような性格でした。休みの日は家にいるより出かける方が好き。そんなアクティブな一面を持っていました。
そんな私を襲ったある出来事が、深い「ひきこもり」生活の入口となります。
私はその経験から、内向的な人だけが陥るものではないとも考えています。
自己解決できない問題で人生を諦める
2つ目は、「人生を諦めるような出来事が襲った」ことです。
7年ほど前、私は母を介護していました。当時は遠距離介護でしたが限界を感じ転職。地元に帰郷し、介護しやすい環境を作ったつもりでした。
しかし、両親との距離が近づくにつれ、今まで知らなかった難題に直面することになります。例えば相続。母家系は高額の借金に悩まされていました。金額にしたら2億円相当に上ります。もはや個人ではどうにもできないほどの借金。それをどうするかで親族間で争いを繰り広げている状況でした。帰郷を機にそこに巻き込まれていくことになります。
また、両親自身の問題も発覚しました。アルコールやギャンブルといった依存症を抱え無貯金状態。「このまま両親が倒れたらどうなるのだろう」といった不安が、日々私を蝕んでいきました。
そして、恐れていたことが起きてしまいます。高額の負債を私になすりつけようとする動きが始まりました。しかも、その動きに両親も加わったのです。実の親が息子に高額の借金をなすりつける過程で、心が折れてしまいました。経緯は複雑にありますが、結果として私は両親の保証人となってしまいます。
絶望が私の心を包みました。今思えば周囲に助けを求めるべきでした。しかし次々と襲いかかってくる難題に心身は蝕まれ、冷静な判断を下すことはできなくなっていました。
このときは、もう解決自体を諦めてしまっていました。
孤立化が「ひきこもり」を助長する
3つ目は、「孤立化した」ことです。
うつ病も発症し、仕事もうまくいかなくなっていた私は、退職を余儀なくされました。その後、就職活動を行うのですが、うつ状態の私はミスを多発し、すぐにクビになってしまいます。
公的機関に助けを求めました。しかし「もっと大変な人はたくさんいる」「もっと頑張りましょう」と言われるだけでした。親族は私に借金を擦りつけようとする関係で信頼できません。当時通っていた精神科は相性が良くなく、次第に足が遠のいてしまいました。
この期間、今までいた友人達は皆去っていきました。私自ら関係を断ってしまった人もいます。
私は完全に孤立化してしまったのです。誰からも連絡が来ることはない。そして相談先もない。
そして、田舎特有の文化が周囲への相談をより遅らせてしまいます。
「家の恥は外に漏らすな」
「仕事もしていないお前は家の恥」
「あの家には変な人がいるらしい」
このような環境が私の孤立化に拍車をかけていたように感じます。当時の私はこう感じていました。
「もう、どこにも助けを求める場所なない」
「自分が助かる道はもう残されていない」
そう感じた私は、生きることを諦め、ただ死を待つだけの状態となってしまいました。そして「ひきこもり」生活が始まったのです。
まとめ
私の場合は介護や相続問題が引き金となっていましたが、「ひきこもり」に至る原因は人それぞれです。
- いじめ
- ハラスメント
- うつ
- 病気など
そして、その引き金となる原因に大小はありません。ストレス耐性がある人からしたら「そんなことで⁈」と思われるような原因もあります。
例を挙げるなら、「学校で人とすれ違ったときに舌打ちをされた」というものがあります。それから不登校になり「ひきこもり」が深刻化・長期化してしまったケースもあります。
それを「心が弱い」「甘やかし」と扱っていては、引きこもり問題は一向に解決しません。ひきこもりは誰にでも起こり得る社会問題なのです。
現在、私は新しい人生が始まり、楽しく生活することができています。両親も存命で、借金の問題も依然として残っています。それでも充実した第二の人生が始まりました。
次回以降は、そのあたりをご紹介できればと思います。