先に、一番伝えたいことを書きます。WordPress に日本語で答える AI チャットボットを置くのに、もう月額の SaaS も、クレジットカードも要りません。無料で始める入口が、OpenRouter と Google Gemini の二つになりました。日本語の自然さで選ぶなら Gemini、という選択肢が増えたのが、今回の変化です。
そして、これを知らずに月額数千円のチャットボット SaaS を払い続けている人は、毎月その額を、無料でできることに払っていることになります。
2026 年の春先、私が最初にこのプラグインを試したときは、無料の入口は OpenRouter ひとつだけでした。それでも「カード不要で動く」ことに驚いたのですが、最近になって Gemini の無料枠が入口に加わって、状況が変わりました。何が変わったのかを、実際に両方を動かした記録として書きます。使うのは「Rapls AI Chatbot」という、日本人開発者の無料プラグインです。自作ではありませんが、開発者が日本語でサポートしている点は、最初に書いておきます。
払わなくてよかったもの
チャットボット系の SaaS は、安いものでも月に数千円、機能を増やすと一万円を超えます。問い合わせ対応を自動化したい、という動機は同じなのに、その入口で月額契約が必要になる。
このプラグインは、プラグイン自体が無料です。WordPress.org の公式ディレクトリにあって、管理画面の検索から入ります。かかるのは AI の API 利用料だけ。しかもその API 利用料すら、無料枠を使えば 0 円から始められます。月額 SaaS を払っていた人にとっては、その固定費がまるごと消える、という話です。
仕組みは図のとおりで、サイトの真ん中にチャットボットがいて、訪問者の質問にまず自分のサイトの内容(取り込んだ記事や登録した FAQ)で答えます。そこに無ければ Web 検索で補う。AI 本体は差し替えられて、その差し替え先の選択肢に、今回 Gemini の無料枠が正式に加わりました。
二つの無料入口
設定画面の一番上に「まず無料で動かす」というパネルが出ます。ここで、OpenRouter と Gemini のどちらで始めるかを選びます。
OpenRouter は、openrouter.ai でメール登録してキーを取ります。いろいろな提供元の無料モデルが使えますが、その日に割り当たるモデルによって、日本語の自然さにばらつきがあります。
Gemini は、Google AI Studio(aistudio.google.com)でキーを取ります。Google アカウントがあれば、カード登録なしでキーが発行できます。gemini-2.5-flash という決まったモデルが使えるので、日本語の品質が安定しています。
どちらを選んでも、キーを貼って接続テストを押せば、使えるモデルまで自動で設定されます。モデル名を調べて選ぶ作業はありません。
日本語で、ここまで変わる
正直なところ、私が二つを試して一番違いを感じたのは、日本語の返答の自然さでした。
OpenRouter の無料モデルは、英語だと滑らかなのに、日本語にすると少し翻訳調の硬さが出ることがあります。Gemini の無料枠に変えてみると、その引っかかりがかなり減りました。日本語のサイトで、日本語の訪問者に答えさせるなら、この差は実際に効きます。
「料金はいくらですか」と聞いたときに、「料金」という言葉を使っていない記事からでも、価格の話を拾ってくる。中で全文検索とベクトル検索を組み合わせているからですが、その回答が自然な日本語で返ってくると、訪問者は「ちゃんと通じた」と感じます。ここが、サイト内検索の窓と決定的に違うところです。
正直に、無料枠の代償
良いことだけ書くのはフェアではないので、Gemini の無料枠で一番大事な点を書きます。
Gemini の無料枠は、送信した内容が Google のモデル改善に使われる場合があります。これは Google が料金ページで明示していることで、有料枠ではこの利用はありません。訪問者との会話やサイトの内容を Google の学習に渡したくないなら、無料枠ではなく有料枠を選ぶか、OpenRouter を使うことになります。
プラグインは、この入口を選ぶところで、各オプションのデータの扱いを選ぶ前に表示します。隠して選ばせない、という作りです。OpenRouter の無料モデルにも、提供元ごとにデータ方針があります。どちらを選ぶかは、日本語の自然さを取るか、データの扱いを優先するか、という判断になります。その材料を、選ぶ前に出しています。
会話の履歴とキー自体は、自分の WordPress に保存されます。外に出るのは、選んだプロバイダーに送られる分だけです。
五分の投資と、その先
ここまでが無料でできることです。本格運用なら買い切り 29 ドルの Pro 版もありますが、これは必要になってからで十分です。会話分析、リードキャプチャ、WooCommerce 連携、営業時間外の有人対応への引き継ぎ、LINE 連携。どれもビジネスで効きますが、まず無料で動かして判断する順番がいいはずです。
余談ですが、私がこの記事を書こうと思ったのは、知人が月額のチャットボット SaaS を契約しているのを見たからでした。やりたいことを聞くと、サイトの内容で問い合わせに答えたい、というだけ。それなら、と試してもらったら、五分で動いて、月額が消えました。
導入そのものは、プラグインを入れて、無料の入口でキーを貼って、サイト学習を有効にして、設置して、話しかけて確認する。実測で五分ほどです。失うのは、その五分だけ。合わなければ消すだけで、何も残りません。
その五分を惜しんでいる間に、訪問者は答えを見つけられずに離脱し、あなたは月額を払い続ける。試した後の世界と、試さなかった世界の差は、毎月積み上がっていきます。
ダウンロードと詳細はこちらから。
- WordPress.org 公式ページ(無料ダウンロード): https://wordpress.org/plugins/rapls-ai-chatbot/
- ソースコード(GitHub): https://github.com/rapls/rapls-ai-chatbot
- 開発者によるプラグイン紹介ページ: https://raplsworks.com/plugins/rapls-ai-chatbot/
- 質問・不具合の報告(公式サポートフォーラム): https://wordpress.org/support/plugin/rapls-ai-chatbot/




