前回は、発達障害者が就職するには、雇用率の算定対象となる障害者手帳所持者のほうが有利との記事をご紹介しました。
しかし手帳が無いからと言って諦めるのは早すぎます。
手帳が無くても利用できる公的な就労支援制度を活用してみましょう。
今回は「発達障害者雇用トータルサポーター」の解説です。
発達障害者雇用トータルサポーターとは
厚生労働省のリーフレットには、この専門員の配置が行われる目的として、以下のように記されています。
- きめ細やかな支援を要する発達障害者の求職者が増加していることから、障害特性を踏まえた専門的な就職支援や職場定着支援、及び事業主に対する発達障害者の雇用に係る課題解決のための相談援助を実施する必要がある。
- ハローワークに発達障害者の専門知識や支援経験を有する者を配置し、相談援助や専門的なカウンセリング等を実施する。
つまり、発達障害を持つ求職者だけでなく、企業への支援も含めて対応にあたる専門家として、精神保健福祉士や臨床心理士等の有資格者を「発達障害者雇用トータルサポーター」としてハローワークに配置しているのです。
発達障害と診断される人が増えていること、発達障害者への正しい理解と対応が追い付いていない企業も多いことから、専門的視点でのサポートが必要との意図のようです。
<注意>企業内に配置する「精神・発達障害者しごとサポーター」とは異なります。
(「精神・発達障害者しごとサポーター」:職場内の精神・発達障害者を温かく見守り支援する応援者となる事を目的として、一定の養成講座を受講した者)
利用できる対象者
「発達障害者雇用トータルサポーター」の支援を受けられるのは、発達障害者が対象です。
手帳の有無は問いません。
どこのハローワークに居るのか
全てのハローワークに配置されているわけではありません。
比較的、規模が大きなハローワークに配置されることが多いようですが、その配置場所に関する詳しい資料が少なく、今回は神奈川労働局が公開している資料「神奈川県内のトータルサポーター等配置一覧(令和5年度)」を見てみましょう。
神奈川県内の14ハローワークのうち、3つのハローワークに配置されています。
サポーターが外勤などで不在にしている場合もありますので、相談を希望する場合は事前に電話などで問い合わせて予約をしましょう。
お住まいの地域で、どこのハローワークに「発達障害者雇用トータルサポーター」がいるか分からない時は、まずは居住地に近いハローワークで相談してみましょう。詳細を教えてくれます。
どんな支援を行うのか
「発達障害」といっても、自閉スペクトラム症 (ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)…など多くの種類があり、かつ、その特性は人によって様々です。
その人に応じた支援策を考え、関係機関とも連携しながら就労に向けたサポートを行います。
発達障害についての知識や経験がある専門職だからこその支援は、例えば以下のようなものがあります。
- 発達障害者に対する支援(職業相談、カウンセリング、面接同行、職場定着支援など)
- 関係機関との連携(地域障害者職業センター、就労移行支援事業所、医療機関など)
- 企業に対する支援(雇い入れ支援、雇用管理についての助言など)
悩んでいるかたは、いちど相談してみてはいかがでしょうか。