「Codex と Claude Code、どっちがいいですか」
よく見かける質問です。そして、比較記事もたくさんあります。
ただ、自分は、どちらか一方を選んでいません。 両方を契約して、役割を分けて使っています。
具体的には、こうです。Claude Code にコードを書かせて、Codex にレビューさせる。 指摘が出たら、それを Claude Code に戻して直させて、もう一度 Codex に見せる。
この往復が、思っていたより効きました。
シリーズの最終回として、この使い方を書きます。

この記事で分かること
- なぜ別のAIにレビューさせると効くのか
- 実際の往復の手順
- レビューを頼むときの書き方
- 指摘の扱い方
- この方法の注意点とコスト
1. なぜ、別のAIに見せるのか
1-1. 書いた本人には、粗が見えにくい
これは、人間でも同じだと思います。
自分が書いた文章は、読み返しても間違いに気づきません。 頭の中に「何を書きたかったか」があるので、書かれていない部分まで、読めてしまう。
AIにも、似たことが起きます。
コードを書いたモデルに「レビューして」と頼むと、たいてい「問題ありません」と返ってきます。当然です。 そのモデルが「これでいい」と判断して書いたものなので。
1-2. 別のモデルは、別の前提で読む

ところが、書いていないモデルに見せると、指摘が出ます。
理由は、前提を共有していないからです。「なぜこう書いたか」を知らないので、コードだけを見て判断します。すると、書いた側が当然だと思っていた部分に、疑問が向きます。
自分の場合、この形にしてから、リリース後に見つかる問題が減りました。
1-3. 人間のレビューと似た構造
これは、チーム開発でコードレビューをする理由と、ほぼ同じです。
他人が読むと、書いた人が見落としたものが見つかる。 一人で開発していると、この機会がありません。
AIを2つ使うと、それに近いことができます。
2. 実際の往復
2-1. 全体の流れ
自分がやっている手順です。
1. Claude Code に書かせる。 機能を追加する、バグを直す、といった実装です。
2. Codex に見せて、レビューさせる。 ここで指摘が出ます。
3. 指摘を Claude Code に戻して、直させる。
4. もう一度 Codex に見せる。
指摘がなくなるまで、3と4を繰り返します。 といっても、たいてい2周ほどで落ち着きます。
2-2. Codex 側でやること
レビューさせるときは、同じフォルダで Codex を起動します。
cd ~/projects/my-app
codex --sandbox read-only 読み取り専用で起動するのがコツです。
レビューさせるだけなので、書き換える必要がありません。 読み取り専用にしておけば、うっかり修正させてしまうこともありません。
そして、こう頼みます。
直前の変更をレビューしてください。
修正はしなくていいので、気になった点を挙げるだけにしてください 「修正しなくていい」と明示するのが大事です。これがないと、勝手に直し始めることがあります。
2-3. 変更部分だけを見せる
プロジェクト全体をレビューさせると、時間もクレジットもかかります。
直前の変更だけに絞ると効率的です。
/diff 第3回で紹介したコマンドです。何が変わったかを表示させてから、そこをレビューさせます。
Git を使っているなら、こう頼むのも確実です。
git diff の内容をレビューしてください。
変更された部分だけを見て、それ以外は読まなくて大丈夫です 2-4. Claude Code 側に戻す
Codex が出した指摘を、そのまま Claude Code に渡します。
別のツールでレビューしたところ、以下の指摘がありました。
それぞれについて、対応が必要かどうかを判断して、
必要なものだけ直してください。
(ここに指摘を貼る)
対応しないものについては、その理由を教えてください 「必要なものだけ」と書くのが重要です。次の節で詳しく書きます。
3. レビューの頼み方
指示の仕方で、返ってくる内容が変わります。
3-1. 観点を指定する
漠然と「レビューして」と頼むと、表面的な指摘が並ぶことがあります。変数名がどうこう、といった話です。
見てほしい観点を指定すると、質が変わります。
以下の観点でレビューしてください。
- 想定外の入力で壊れないか
- エラーが起きたときに、握りつぶしていないか
- 書きかけや、消し忘れが残っていないか
- 関係のないファイルが混ざっていないか
- 同じ処理が複数箇所に重複していないか
重要度の高い順に並べて報告してください 「重要度の高い順に」と付けると、優先順位がついて扱いやすくなります。
3-2. 前提を伝える
何を作っているかを知らないと、的外れな指摘になります。
これは、社内で使う小さなツールです。
外部に公開しないので、大規模なアクセスは想定していません。
その前提でレビューしてください これがないと、過剰な指摘が来ることがあります。個人のツールなのに、大規模サービス向けの提案をされる、といった具合です。
3-3. 変更の意図を伝える
この変更は、フォームの入力チェックを追加したものです。
意図したとおりになっているかを中心に見てください 何をやろうとした変更なのかを伝えると、「意図と実装が合っているか」という観点で見てくれます。
4. 指摘の扱い方
ここが、いちばん大事かもしれません。
4-1. 全部を直さないでください
出てきた指摘を、機械的に全部適用してはいけません。
理由は2つあります。
的外れな指摘が混ざります。 前提を知らないので、この状況では不要な提案が出てきます。
そして、直すたびに新しい問題が生まれる可能性があります。 指摘を直すために書き換えた部分に、別の問題が入り込む。
4-2. 3つに分ける
自分は、指摘を3つに分けています。
本当の問題。 → 直します。
指摘としては正しいが、この場面では不要。 → 直しません。「意図的にこうしている」と記録します。
誤解や、前提の違いによるもの。 → 直しません。
この判断は、人間がやります。 ここを機械に任せると、意味がなくなります。
4-3. 直さない理由を残す
直さないと決めたものは、理由をどこかに書いておくと、あとで役に立ちます。
同じ指摘が、次のレビューでも出てくるからです。そのたびに考え直すのは無駄です。
第4回で扱った AGENTS.md に書いておくのも一つの方法です。
# 意図的にこうしている
- この処理は毎回同期的に実行しています(順序が保証される必要があるため)。
非同期化の提案は不要です。 4-4. 何周もしない
指摘がゼロになるまで繰り返す必要はありません。
自分の場合、2周ほどで止めています。 それ以上やると、細かい好みの話になっていって、クレジットだけが減ります。
「重要度の高いものが片づいたら終わり」くらいの線引きが、ちょうどいいと思います。
5. 2つの向き不向き
「どちらがいいか」ではなく、どちらが何に向くかという話です。
5-1. 使い分けの実感
自分の使い方だと、こうなっています。
書かせる側には、まとまった実装を任せています。 機能を追加する、まとめて直す、といった作業です。
レビューさせる側には、書かれたものを見せています。 実装はさせません。
これは「どちらが優れているか」ではなく、役割を固定したほうが往復しやすいからです。両方に書かせると、どちらの変更なのか分からなくなります。
5-2. 逆にすることもできます
役割は、逆でも成立します。
Codex に書かせて、Claude Code にレビューさせる。同じことです。
大事なのは、書いた側と読む側を、別のモデルにすることです。どちらをどちらに割り当てるかは、好みの問題だと思います。
5-3. 料金の考え方が違います
第1回で書いたとおり、Codex は ChatGPT のプランに含まれます。 すでに ChatGPT に課金しているなら、追加投資はありません。
両方を契約すると、当然その分の費用がかかります。 ここは正直に書いておきます。
ただ、すでに片方に課金している人が、もう片方を足すという判断なら、そこまで大きな話ではないかもしれません。
6. この方法の注意点
6-1. クレジットを消費します
往復するたびに、両方で消費します。
レビューは、コードを読み込んで、指摘を書き出す作業です。入力も出力も発生します。
節約するなら、
変更部分だけを見せる。 全体を読ませない。
2周で止める。 完璧を目指さない。
小さい変更では、往復させない。 一行直しただけのものにレビューは要りません。
6-2. 時間はかかります
当然ですが、往復するぶん時間がかかります。
急ぎの作業には向きません。時間をかけてもいい場面、たとえば公開前の確認や、他人が使うコードを書くときに向いています。
6-3. 判断は人間に残ります
指摘の取捨選択は、自動化できません。
というより、そこを自動化すると、この方法の意味がなくなります。 判断を人間が握っているから、的外れな修正を止められる。
「AIに任せて楽をする」というより、「一人で見落とすものを、機械に拾わせる」という感覚に近いです。
6-4. 万能ではありません
見落とされるものもあります。
コードだけを見て分かることには限界があります。実際に動かさないと分からない問題、画面を見ないと分からない問題は、この方法では拾えません。
テストや、実際の動作確認の代わりにはなりません。
7. 一人で開発している方へ
この方法を始めた理由を、最後に書いておきます。
一人で作っていると、レビューしてくれる人がいません。
自分で書いて、自分で確認して、自分で公開する。間違いに気づく機会が、構造的にありません。
チームなら、他人が読んでくれます。「ここ、こういう場合はどうなりますか」と聞かれて、初めて気づくことがある。その機会が、一人だとゼロです。
AIを2つ使うのは、その機会を無理やり作る方法だと思っています。
完璧ではありません。人間のレビューとは違います。それでも、ゼロよりはずっとましでした。
まとめ
- どちらか選ぶ必要はありません。 役割を分けて併用できます
- 書いた側は、自分の粗が見えにくい。 別のモデルは、別の前提で読む
- 手順は「書かせる → レビューさせる → 戻して直す → もう一度見せる」
- レビューさせる側は、読み取り専用で起動する
- 「修正しなくていい」と明示する。 勝手に直し始めるのを防ぐ
- 変更部分だけを見せる。 全体を読ませると、時間もクレジットもかかる
- レビューは観点を指定する。 漠然と頼むと表面的な指摘になる
- 前提を伝える。 ないと過剰な指摘が来る
- 指摘を全部直さない。 本当の問題/不要/誤解 の3つに分ける
- 判断は人間がやる。 ここを自動化すると意味がなくなる
- 2周ほどで止める。 完璧を目指すとクレジットが減るだけ
- テストや動作確認の代わりにはならない
シリーズのまとめ
全5回、お読みいただきありがとうございました。
第1回 料金とインストール。 Codex 単体の契約はなく、ChatGPT のプランに含まれること。
第2回 基本の使い方。 サンドボックスと承認ポリシーの2軸。
第3回 コマンド早見表。 よく使うものと、一覧の確認方法。
第4回 設定ファイル。 config.toml と AGENTS.md の役割分担。
第5回 往復させる使い方。 別のAIにレビューさせる。
全部を一度に覚える必要はありません。 最初は第1回と第2回だけで足ります。設定を詰めるのは、毎回同じオプションを打つのが面倒になってからで十分です。
そして、Claude Code のシリーズも書いています。 併用を考えている方は、そちらもあわせてどうぞ。
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。仕様は変更されることがあるため、最新の情報は公式ドキュメントをご確認ください。

