「ひきこもり経験者が体験を語るシリーズ」です。今回は3回目で、当事者を支える家族に焦点を当てたいと思います。
私は、現在ひきこもり家族会に参加しています。そこでたくさんのご家族の声に触れています。今回の記事は、その実際の声を元に作成しています。
この記事を書く目的は「当事者と家族の関係構築のきっかけにしてほしい」です。
私は、ひきこもり時代は家族に対してこう感じていました。
「なんとかして、自分を就職させようとしているのだろう」
この気持ちが家族との溝を深めていきました。
当事者の方は、実際に家族が感じていることを知ることで、誤解を解いてほしいと思います。そして、良好な家族関係が築かれることを願います。
また、当事者を抱える家族には「こんな気持ちになっているのは私だけじゃなかった」。そう思っていただければと思います。
それでは、本題に入っていきましょう。
家族の不安・恐怖
こちらは、実際の家族の声に基づいています。意外なほど「働いてほしい」という声は上がっていません。家族会に参加していると「その時期はとっくに過ぎ去った」という印象を受けました。
親亡き後の子供の生活
これは、ほとんどの親御さんが口にされることです。「私が死んだら子供は生きていけるのか」。金銭面の心配もありますが、完全に孤立してしまう我が子を心配する声も多く上がっています。
ひきこもりの自助グループの平均参加人数は5人〜10人程度です。ひきこもりに関する講演会で20人〜40人ほどになります。
しかし、「8050問題」「親亡き後の…」「8050問題のお金の話」といったタイトルが入ると、参加者が一気に膨れ上がります。先日、福岡県で開催された「8050問題」の講演会は定員180人が即締切となっていました。それほど切実で、関心が高い問題なのでしょう。
私の育て方が悪かった
これも上記の記事と並ぶほど、よく口にされる悩みです。特にお母様が口にされている印象です。「期待した自分がいけなかったのか…」「公平に育てたつもりだったが、長男ということで厳しくしすぎた…」など、自身の育て方を悔いている親御さんが多いです。
当事者の方に知っていただきたいのは、「ほとんどの親御さんは、ひきこもっている子供を責めていない」ということです。「苦しまずに生きてほしい」こう願う方がほとんどです。
家族間の考え方の違い
上記の内容につながる内容になります。家族間の考え方の違いには2つあります。
1つめは、夫婦間の考え方の違い。2つめは、兄弟間の考え方の違いです。家族会に来られるお母様は、こんな悩みを打ち明けられます。
「主人が息子に無関心で困っている」
「お前が甘やかしたからこうなったと、私を責める」
「結婚した娘が、長男がひきこもっているから家に寄り付かなくなった」
「子供がひきこもったのは母親のせい」「ひきこもっている兄弟とは関わりたくない」こんな家族の声に苦しんでいるお母様は多いです。
余談ですが、「ひきこもりの原因は妻にある」と言いがちなお父様。実は「息子さんが拒絶しているのは父親」というのは、割とあるケースです。何かと、家庭の問題を母親のせいにしている父を見て、父親に対して不信感が芽生えているケースがあるように感じました。
まとめ
ひきこもりは「当事者が一番辛い」と言われがちです。実際に当事者だった私も、当時は非常に苦しい時期でした。
しかし、当事者の気持ち優先の流れが、家族が苦しみを他者に相談させずらくしていることに気づきました。家族のひきこもりによって家の中が分断する。そこに心を痛めている方が非常に多いように思います。
家族間のコミュニケーションは本音が出やすくなります。そのため、溜め込んでいた感情をぶつけてしまうことがあります。
「いつまで、そんな生活を続けるの!」
つい、こんな言葉が出てしまうと思います。しかしそれは、「早く就職しなさい!」という意味ではなく、「子供に苦しんでほしくない」という気持ちから出ているのです。