「ひきこもり経験者が体験を語るシリーズ」です。今回はひきこもり時代に感じていた、不安や恐怖をお話ししたいと思います。4部構成になっています。
1部:当事者が感じていた不安・恐怖
2部:当事者の不安・恐怖を減らすために効果的だったこと
3部:家族が感じていた不安・恐怖
4部:家族の不安・恐怖を減らすために効果的だったこと
3、4部は私の想像ではなく、実際に私の家族にインタビューして書いています。今回は当事者編です。この記事を読むことでこのような効果を期待しています。
- こんな不安・恐怖を抱えているのは自分だけじゃない
- ひきこもりの人は楽をしているわけではないと理解される
また、当事者を支える家族には、「不安や恐怖を減らすお手伝い」に繋げてほしいと思います。
それでは本題に入りましょう。
私が感じていた不安・恐怖
当時、起きている間はひたすら恐怖心で頭と心が満たされていました。不安なことを忘れるためには思考のスイッチを切ることしか出来ませんでした。そんな気持ちをかき消すためにゲーム依存にもなりました。
そんな不安・恐怖の中でも代表的だったもの3つをご紹介します。
①現実的な話
具体的に挙げると「お金」「就職」「将来」などです。やらないといけないと分かっているものの出来ない。1番されて辛かった話題が、これらの現実的な話でした。
ひきこもり経験のない方には想像つかないかもしれませんが、私は免許更新に強い恐怖を感じていました。「絶対に行けない」「免許が失効してしまう」と、2つの気持ちがせめぎ合っていました。当時の私は交通機関に乗って免許更新の手続きに行くなど、「とてもじゃないけど出来ない」と思っていました。
②親や親戚からの電話
私の母は介護状態でした。そして実家には巨額の借金がありました。実はこの実家問題に長年頭を悩ませており、うつ病になったという過去があります。私にとっては忌まわしき実家なのです。
実家からの連絡はロクなものがありませんでした。当時の私は「実家に自分の人生が削り取られてる」とすら感じていました。そして、そんな両親の状況に親戚は業を煮やしていたのです。
私はひきこもっている間、この実家からの呼び出し電話に恐怖していました。親戚からの電話は「お前が両親に代わって対応しろ」「逃げていないでさっさと働け」というものばかりでした。私は数年間スマホの電源を切って避難していました。
③外出
私は元々は人嫌いではありません。接客業をしていたほど人は好きでした。しかし、人と関わることがなくなると、対人能力が著しく下がっていきました。
「話すことが苦手」から「話すことが苦痛」に変わっていきました。すると、人前でオドオドするようになっていきます。この状態になってしまうと、意地悪な人から「からかいの対象」や「憂さ晴らしの対象」とされてしまいます。
その例をいくつかご紹介すると、
- スーパーのレジで並んでいると「前いいよな⁈」と言われ強引に割り込まれる
- すれ違いざまにタバコを投げつけられる
- 支払い時にモタモタしていると「キモい」「邪魔」などと言われる
彼らには、気弱で何も言い返せないことが分かるのでしょう。酷いときにはコンビニの駐車場で暴力を振るわれたこともあります。こうなってしまうと悪循環に陥ります。ますます外出が怖くなっていきました。
まとめ
ひきこもっていると、たまにこんな言葉を耳にします。
「ひきこもっていれば楽でいいね」
「嫌なことから逃げていて楽でしょう?」
経験者として思うことは、全く違います。ひきこもり状態はかなり苦しいです。
誰からも必要とされない
社会から外れてしまった
これからの生活に対しての不安
これは当事者になってみないと分からないものでした。そして、ひきこもりは誰にでも起こりうるものなのです。
次回は「不安や恐怖を小さくするために効果的だったこと」をお話しします。
リンク
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000515493.pdf
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