近年、さまざまなカメラがブームになっています。
インスタグラムに画像をアップロードして楽しんだり、あるいはレトロなインスタントカメラの素朴な色合いに魅了されたり。現在では人それぞれの楽しみ方があふれています。
本格的な写真を撮りたいというのであれば、やはり一眼レフカメラ(ファインダーを通して、実際の像を確認しながら撮影ができるカメラ)でしょう。
しかし、「ちゃんと基礎的なところからカメラを始めたい」と一念発起したはいいが、何から始めたら…と迷っている方もいるのではないでしょうか。
私が一眼カメラを手に入れたのは、なんとなくの気持ちから。その後ライター業を続けていく上でどうしても「最低限の写真を撮る」必要に駆られ、悪戦苦闘しながらカメラのテクニックを独学で身に着けることになりました。
正直、自分としてはもともとそれほど興味のないジャンルでした。しかし仕事で必要になる知識は必然的に身につき、いつの間にか仕事を進める上での「必要最低限」の写真をある程度おさえるようにはなりました。
今回は「一眼レフカメラを始めたい」という方に向けて、私が仕事などを通して得た知識より、カメラの「初歩」を考えてみたいと思います。
何を撮りたいのか、それによって選ぶカメラ
まずカメラ撮影で「何を準備すればいいのか」ということを考える必要があります。
最近はスマホのカメラもかなり性能が向上し、メディアの仕事ですら十分使えそうなものがどんどんと発売されています。実は私もすでに某ポータルサイトの記事で、スマホで撮影した画像を使用したこともあります。
ただしまだ操作性という点では改善の余地も多く、たとえばスポーツのようにかなり動作が速い被写体を撮影するのは、スマホでは厳しいといえるでしょう。
私が一眼レフカメラを最初に購入したのは、実はスポーツ写真を撮りたいというきっかけでした。そのため以後身に着けていった知識はスポーツ写真、「速く動く被写体を撮る」という目的がベースになっています。
こうした点を考えると「普段の日常を、思いついたままに撮影したい」というところではスマホを利用あるいは廉価のデジカメを購入、または「取材などのように瞬間を逃さない撮影をしたい」という本格的な目標では一眼レフカメラを購入、という選択に行きつくことでしょう。
一眼レフカメラを選択する場合は、ボディ(本体)の他にレンズなどの周辺機器が必要になります。差し当たりはボディと標準的な焦点距離をおえられるレンズ(上の写真のカメラは18~55ミリレンズ。この値に近いレンズを購入すれば、幅広い撮影に対応できるでしょう)という組み合わせを購入し、以後スキルの向上により必要になった際に望遠レンズやフラッシュなどの外部機器を買い足していくようにしましょう。
補足:解像度について
DTP関連の教科書で記載されていることも多いのですが、たとえばとあるデジカメで撮影した写真がWebで使えるか?あるいは紙のメディアで使えるか?という判断を行う指標の一つとして、画像の解像度があります。
dpi(dots per inch)という指標で表されるものですが、これは一インチ四方の中に示される画素の密度を示すもの。大まかな目安として紙のメディアでは300dpi以上、Webでは72dpi以上の画像はまず問題なく使用できるといわれており、逆にこれを下回るとドットの目が粗くなり見づらい画像として表示されてしまいます。
近年、スマホでも72dpi程度であれば十分クリアしているものも多くあり、海外のイベント取材ではスマホで撮影を行うというメディアも多いといわれています。
カメラ設定の基本は三つ
カメラ撮影は、「感度」「露出」「シャッタースピード」という、三つの設定項目に注意しながらシャッターを切ることで撮影を行うのが基本です。
カメラ設定値の基本:「感度」「露出」「シャッタースピード」
「感度」とは光に対する映像の感度のことを示しており、感度が低いと多くの光量が必要になりますが、逆に感度が高いと少ない光量で写すことができます。通常デジカメの場合は「ISO感度」という名称で呼ばれています。
「露出」とは、カメラの「絞り」を設定するもので、写真を撮る際にカメラに取り込まれる光の量を調整します。そして「シャッタースピード」は、シャッターボタンを押した後に、シャッターが開いている時間を示します。
どの設定値を優先して撮るか
一眼レフカメラでは、これらの値をどう設定するかが操作の基本となるわけです。
まず「感度」については、撮影する状況に応じて設定を行います。わからない場合は「Auto」設定にしておきましょう。ある程度自動的に光量から最適な値をカメラが自動的に判断してくれます。
すると残る設定としては「露出」「シャッタースピード」という二つの値を決めることになります。どちらもカメラに入ってくる光の量を調整するもので、この二つをどのようなバランスで設定していくかが問題となるわけです。
これは「二つのバランス」を考えるというよりは、どちらかをまず優先して決定し、その後もう一つの値を決めるというやり方が設定しやすいと思います。
「露出」優先
基礎としてはこのうち「露出」をまず優先して設定値を決めよう、と教えられることが多いようです。たとえば風景写真や部屋の中のポートレートなど、動きの少ないものを綺麗に写すところから始め、徐々に撮影の幅を広げていくという方針で考えると、この考えで設定していくのは適しています。
ある程度最適な明るさが見えてきてから、ブレのないよう「シャッタースピード」を合わせていくわけです。しかしこの方法だと明るさを優先するため、ブレずに写せる被写体の動きの速さに限界が出てきます。
「シャッタースピード」優先
当初私がカメラでスポーツ写真を撮りたい、と考えた際に、重視すべきは「ブレない写真を撮る」であり、優先すべきは「シャッタースピード」と考えていました。シャッタースピードを上げれば上げるほど、被写体がブレて写ることはなくなっていきます。
こちらの優先ではカメラで取り込める光量は少なくなり、全体的に暗くなる傾向となります。しかし近年は画像のレタッチ用ソフトもフリーなどでも十分使用できるものも出ているため、少々の暗い画像は、後である程度の補正は可能です。
そこである程度の暗さは補正でカバーすると割り切って撮影を行いました。撮影時に余裕があれば、露出の値を徐々に合わせて、ある程度の明るさをカバーすることもできます。
できれば批評し合える知人を作ろう
趣味として、自由に写真を撮るという楽しみ方は、カメラの上達の上ではとてもよいことです。ただ誰かに客観的な視点で作品を見てもらうことも、上達には必要なことであります。
他の人に見てもらうことは「作品をよいと思ってもらえるかどうか」というよりも「作品に対してどのような見方があるか」という新たな視点、ヒントを与えてもらうことが重要になります。
写真はある意味「芸術」なので、絶対的な良し悪しは決めにくいものです。それだけに自分が思いもよらなかった視点や撮影方法というものは、客観的な視点から生まれることが多いといえるでしょう。
そんな点から考えれば、同じように写真を楽しむ人や上達を目指す人と作品を見せ合って、お互いに意見を言い合う機会があればさまざまな刺激を受けたり、思いもよらなかったアイデアを思いついたりすることもあります。
また、カメラを通して新たな人との関係を築くこともできるかもしれません。まさに「カメラを通して自分の視野を広げる」ことにつながるわけです。