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難病患者と「延命措置」の問題

選択肢を示す医師のイメージ 生きづらさを抱えて
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皆さんのなかに、自分がもし危篤状態に陥ったときに「延命措置」を望むかどうかを既に決めてあるという人はおられるでしょうか?

自分や家族が看取り期に入ったという人以外は、おそらくそんな選択を決断したことは無いのがほとんどではないでしょうか。

病気や高齢で物が食べられなくなり胃ろうを行う、自発呼吸が苦しくなり気管切開を行い人工呼吸器を装着する。自分がその状態になるのは遥かに遠い未来のことだから、何も今決めなくても。。。

私もその考えを持つ一人だった。

でも、「遥かに遠い未来」のことではなく、ここ数年以内に決断しないといけないようだと知った、2023年の年末。

私、まだ49歳なんだけど。さて、どうしよう。

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「生きるための決断」とは

大きな窓がある病室

2023年の初め頃、コロナウイルス感染で友人が大変な状況に陥っているという事を人づてに聞いた。

私と同じ、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーという筋疾患の難病を持つ友人。彼女はその他にも難病をあと2つ持っていて、コロナウイルスに罹患すると重症化するかもしれないというのは医学に疎い私でも容易に想像できることだった。

これまでにも何度も命の危機に瀕しては、復活を遂げてきた友人。その生命力を私は信じていたが、今回ばかりは心配でたまらなかった。

とてもチャーミングで、関西人じゃないのに笑いのセンスがあって、そして何よりも私の気持ちを誰よりも理解してくれる戦友でもあった。彼女がいない世界なんて考えることはできなかった。

その後、友人は奇跡的に回復し、大変なリハビリを経て退院することができたのだが、入院から退院までの間には、「命の選択」ともいえる重大な決断をしていたということを後に知らされた。

それは、「気管切開」への同意や「人工呼吸器」の使用など。

私も今まで避けて通ってきた課題だった。

このことについて彼女は体験記を書き、第58回「NHK障害福祉賞」の最優秀賞に選ばれた。生きるために向き合わねばならない重い選択。下記のリンクからその体験記が読めますので、ぜひ皆さまにも読んでいただきたい。

そう。彼女は生きるために、夜間の就寝時に人工呼吸器を使うことから始めたのだった。

【第58回「NHK障害福祉賞」最優秀賞 「生きる選択」】

【受賞者発表の記事】

 

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自分を主体に考えられないというジレンマ

車椅子に乗る女性の後ろ姿

その語句を聞き慣れない人にとって「人工呼吸器」とは、なんと重い響きなのだろう。

でも、人工呼吸器を装着することは、イコール気管切開ではない。呼吸機能がまだそれほど落ちていなければ友人のように夜間だけ装着する使い方(鼻や口をマスクで覆う)から始めていく人もいる。

なので、進行性の筋疾患である限り、そう遠くない将来に呼吸機能が落ちていくことが分かっているのなら、早い段階から人工呼吸器に慣れていったほうがいいというのは、他の同病仲間からも、筋疾患専門医からも聞いてはいた。

だけど、私はまだそれに踏み切れていない。

結局、自分が決断できない理由とは。

医療的ケアをまだ何も導入していない今でさえ、車椅子や福祉用具が増えていくたびに「部屋が狭くなる」と愚痴をこぼす親。それに加え、人工呼吸器の機械が増えてしまうと私はきっと責められるだろうということ。

私のことを部分的に介助する親は、今でさえ「自分の自由な時間が無い」とか「この先は不安しかない」と言っているのに、それに加えて人工呼吸器の管理や手伝いもとなると、おそらく親は耐えられないだろう。

ヘルパーさんをお願いするなど、活用できる制度は使っていくとしても、それでも家族に委ねる必要が出てくることは容易に想像できる。

つまり私は、「自分が生きたいのか」ではなく「家族への負担」を判断材料としているのだ。

「誰かに迷惑がかかるからという視点ではなく、あなたはどうしたいのか」というふうに意思を確認されるのはよくあることだが、結局のところ自分がどう望んだって、誰かのサポート無しには生きられない以上、誰かの存在や気持ちを抜きにして考えることが今の私にはできないのだった。

私の未来とは

そうは言っても、友人がとった「生きるための選択」について、私は歓迎だったし、彼女とはまだまだ会える機会がこの先もあるんだということに感謝の気持ちでいっぱいだった。

自分以外の人に対しては肯定的に考えられるのに、自分のこととなると躊躇してしまう。大きな矛盾を抱えて、私はまだこの先しばらく迷い続けるのだろう。

あなたが同じ立場だったなら、どうしますか。

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