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元職員が教える、ハローワークの賢い使い方 15 ~発達障害者は障害者手帳があると有利~

発達障害者と障害者手帳のイメージ 働く-Work
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前回は、障害者求人が抱える問題点についてご紹介しました。障害者手帳の有無によって、その障害者求人への応募しやすさ(採用確率)は変わってきます。

今回は、障害者手帳の発給がすんなりいかないという声もよく聞く発達障害について、その現状と障害者雇用率の仕組み、発達障害者が利用できる(国が定める)就労支援施策を解説していきます。

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障害者の法定雇用率とは

ひらめきと本

企業などが障害者の雇用をためらう風土がまだまだ日本には根強いため、「障害者雇用促進法」によって、公的機関や一定規模以上の企業に対し、障害者の法定雇用率が定められています。

雇用率を達成すると、納付金の支払いが免除されたり、報奨金・調整金・助成金を受けたりできます。また、自治体での入札では法定雇用率を達成している企業を優遇するなどのメリットが受けられるのです。

つまり、「雇用率算定の対象となる障害者」であることが、就職活動の結果を左右する場合があるのです(補足ですが、全てにおいて雇用率だけが影響するわけではありません。一定規模以下の企業には雇用率は関係無いため)。

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雇用率に算定されるには手帳が必要

雇用率算定の対象となるのは、以下です。

全て、障害者手帳を有していることが条件となっています。

身体障害者
身体障害者福祉法による「身体障害者手帳」を所持している方(障害の程度によって等級が1~7級)。

知的障害者
都道府県知事が発行する「療育手帳」を所持している方(障害の程度によってA「最重度」「重度」B「中度」、C「軽度」に区分)。

精神障害者
精神保健福祉法による「精神障害者保険福祉手帳」を所持している方(障害の程度によって等級は1~3級)。

(厚生労働省HPより)

本来は、障害者手帳が有っても無くても、その人自身の特性は何も変わらないわけですから、「手帳の有無によって就職活動の成果が異なるということは望ましい状況とは言えない」と個人的には考えています。

しかし現状では、雇用率に算定される対象者が有利です。

たとえば身体障害であっても手帳が発行されない程度の障害の人や、難病で身体的に大変な不便やしんどさを抱える人、知的障害までいかないがボーダーライン上の人など、障害者手帳が無ければ、雇用率には算定されません。

それと同じことですので、発達障害のかたに限らず、制度のはざまで救い上げられない層のかたに対する支援をどうしていくかは、今後の課題となっています。

発達障害でも簡単に手帳が取得できない?

障害者手帳の発給は各自治体の判断によるのですが、発達障害の場合、知的障害者に発行される「療育手帳」が出るところもあるようです。しかし大半は精神障害者向けの「精神障害者保険福祉手帳」で発行しているところがほとんどです。

「療育手帳」は知能指数(IQ)と生活への支障がどの程度あるかで判断されますから、発達障害ではIQが高い人も多いことから「療育手帳」にはなじまず、大半は「精神障害者保険福祉手帳」となります。

厚生労働省HPの「障害者手帳」のページにも、「精神障害者保険福祉手帳」の対象となる障害の記述に「発達障害」が入っています。

障害者手帳の種類

(厚生労働省HPより引用)

時々、見聞きするのが、発達障害の傾向があり社会生活においても支障が生じているにもかかわらず、医師の診断書内容によっては、障害者手帳が出る基準には満たないとされたというものです。

医療分野に関して私は専門分野ではありませんので明確な見解を出すことはできませんが、他の病院で診察を受け直してみたり、二次障害として例えば、うつ病などがあるならその障害で手帳申請をしてみるなど、信頼できる医師や支援機関で相談してみてはいかがでしょうか。

就労面だけでなく、福祉面などにおいても障害者手帳があるほうが何かとメリットが高いはずです。

障害者手帳が無くても、発達障害者が使える就労支援制度

頬杖をつく笑顔の女性

雇用率の算定対象にはならないけど、障害者手帳を持たない発達障害者が利用できる公的な就労支援制度も実はあります。

昔にはありませんでしたが、発達障害と診断される人が増えてきており、それに伴い拡充されてきています。

発達障害者雇用トータルサポーター

ハローワークに発達障害者の専門知識や支援経験を有する者を配置し、相談援助や専門的なカウンセリング等を実施しています。

発達障害を持つ求職者だけでなく企業への支援も含めて対応にあたる専門家として、精神保健福祉士や臨床心理士等の有資格者が担当しています。

障害者短時間トライアルコース

継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用する制度。

雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指す。

特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

発達障害者や難病患者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して最大2年間助成されます。

まとめ

障害者手帳を持っていなくても使える、公的な就労支援制度はあります。

就職が決まらず悩んでいるかたは、一度ハローワークに相談してみてください。

次回以降に、上記の就労支援制度について、さらに詳しく解説していきます。

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