ひきこもり、ニートなどの状態にあり、すぐに就労するにはまだ心理的にハードルが高いと感じている人の場合、せっかく時間があるのですから、スキルアップをしてみませんか?
これが正解というものはありませんが、様々な意見のひとつとして、ハローワーク元職員が考える方法をご説明します。
この際、スキルアップを
社会との関わりを持つ活動への参加や就労など、まだ心理的負担が大きい場合、あまり無理をしないほうが良いことがあります。
早く社会参加へ戻ってほしいと願う親御さんには申し訳ない事を言うかもしれませんが、私のこれまでの経験からすれば、急がば回れ。焦らないほうがいいです。
「外に出て働く」ための就職活動に関わる記事を書いてきていますが、「外に出て働く」ことが全ての正解とは考えていません。
確かに、外に出て働くほうが安定した収入を得られる可能性は高いです。
ただ、それがどうしても無理な人、今は状況的に難しい人もいるわけですので、じゃあ、「いま、どうすることが今後の将来に役立つか」との観点から、今回はスキルアップすることのススメを書いていきます。
時間はたくさんある。なんでもいい、勉強しよう
ただし、何か学んだからと言って、それがそのまま就職に結びつくほど、物事は簡単ではありません。いえ、むしろ、「直接的に」役立つ武器にはならないと考えておいたほうが良いでしょう。
なぜならそのスキルを使って働いた経験がゼロだからです。
未経験者歓迎、という求人であれば学んだだけの人でも採用されやすいでしょうけれど、就職してからもかなり頑張っていかないと、ついていけないでしょう。
では、なぜスキルアップの勉強を私が勧めるのか。
「無いよりマシだから」です。
企業にとってはゼロから知識を教えるより、最低限の知識を習得済みの人の方を採りたいと思うでしょう。
すぐその職業に役立たなくても、何かの時にそれが役立つことも案外、あったりします。
例えば今の時代、どのような職業でも使用する可能性があるパソコン入力。
Word、Excel、PowerPoinなどを勉強してもそれだけで就職できるというものでもありませんが、ホワイトカラー系の職種でなく介護職や多職種でも、簡単な報告書入力が必要だったり、在庫管理のためにパソコンで数値入力が必要だったり。どこかで役に立つものです。
スキルアップの利点
まず、「自分は何もしていない」という罪悪感を減らせます。
ゲームをしているだけ、遊んでいるだけと家族から思われているのではという心理的なしんどさは常にあるのではないでしょうか。まだ働くことには踏み出せないけれど、そこへ至るまでの準備期間なんだという意味でスキルアップの勉強をしておけば、家族の理解も得やすいかもしれません。
また、スキルアップ学習の過程で、様々な人とアドバイスや情報交換を行う→交友関係が広がる→知見が広がる。自信につながる。という利点もあります。
安価で開始できるものから試す
有料のオンラインスクールもありますが、価格が高額なものも多く、もし自分に合わなかった場合、かけた費用が無駄になってしまいますので、有料オンラインスクールを開始するのは慎重に検討してからにしたほうが良いでしょう。
まずは無料で勉強できるものから始めるのがオススメ。最近は、その道の経験者がインターネットのYouTubeやブログなどで丁寧に解説付きで有益な情報を説明してくれたりTipsを公開していたり、参考書代わりになるぐらいの活用ができたりします。
そのような無料で始められるものから着手し、これなら自分も無理なく継続できそうだと判断できた時点で、参考書籍を購入して独学を始めてみましょう。参考書は豊富で正確な情報が詰め込まれており、きちんと学ぶには最適です。
先ほど挙げたインターネット上の無料の情報は、体系的に学ぶにはやや不十分で、基礎的な知識が欠けたものになりがちです。よって順序良く学ぶには参考書が向いています。
参考書で基礎知識を身に付けた後、もし必要であれば有料オンラインスクールを使うなどしてはどうでしょうか。独学で学んだことが補完されますし、場合によっては中級クラスで学ぶのも良いでしょう。
そして有料オンラインスクールの前に、次に挙げる、ハローワークによる職業訓練も検討してみてはいかがでしょうか。
職業訓練を使う
職業訓練制度は「ハロートレーニング」と呼ばれ、大きく分けて以下の2種類に分類されます。
- 公共職業訓練(離職者訓練):主に雇用保険(失業給付)を受給している人が対象。つまり直近まで雇用保険に加入して働き離職した人。
- 求職者支援訓練:雇用保険を受給できない求職者が主な対象。
ひきこもりやニートだった人、職に就いていない期間が長かった人は上記の2つめ「求職者支援訓練」のほうになるでしょう。
誰でも無条件に受講できるわけではない
ハローワークを経由した申込になりますので、必ずハローワークへ足を運び求職登録や職業相談を受け、その必要性が認められなければなりません。申し込めば誰でも受講できるというわけではなく、面接や筆記試験もあります。
また、「労働の意思と能力があること」が必須となります。
「労働の意思」とは、単に勉強したいというだけではダメで、就労したいという意思を有していることが必要です。「労働の能力」とは、働きたいという意思があっても例えば病気などで医師から就労を禁止されている場合はダメということです。
授業料が無料
公的な制度ですので、基本的に授業料は無料です(但し、在職者や学卒者対象訓練など有料のものがありますので要確認)。
普通に専門学校に通えば何十万円もする授業料が無料ですので、この点はとても助かりますよね。
教材費は自己負担ですので、選ぶコースによってどの程度の自己負担があるか確認しましょう。
国の税金を使って受けさせてもらう職業訓練ですから、欠席率が高いと途中退校になったりする場合もありますので、そのぶん、きちんと真面目に受ける必要があります。
様々な科目や支援システム
科目は事務系からデザイン、プログラミング、マーケティング、技術系、介護など多様なものがあります。
また、一日あたりの訓練時間は通常は6時間など長いものがほとんどなため、授業を受け続ける体力が無い場合には、少しきついかもしれません。
体力的、家庭の都合などで長時間が難しい人のために短期間や短時間のコースが用意されている時もあります。
障害があるかた対象の訓練もあります。
eラーニングもある
科目が限定されて数は少ないですがeラーニングのコースを選べば、自宅で好きな時間に学べるというものもあります。
但し、「受講にあたって特別な配慮が必要」や「育児・介護中の者」「在職中」など応募資格が限定されているのものもありますので詳しくはハローワークで確認してください。
最後に
どのような方法でスキルアップするにせよ、どんな職種が最近は多いのか、将来の展望なども事前にしっかり調べましょう。特にIT分野は新しい技術の進歩が著しいです。
求人情報を幅広く見ていくと、この職業にはこのスキルが要求されることが多いなど傾向が見えてきます。それを掴んでから、何を学ぶか決めていきましょう。
その方向性を決めるためにハローワーク職員に相談しても良いでしょう。ただ、ハローワーク職員も全ての職種について熟知しているわけではありません。身近にその職業に就いている知人がいれば聞いてみるなど、情報収集も怠らないようにしましょう。