第2回目は、私のひきこもり状態の様子をご紹介します。
その前に簡単に自己紹介をさせてください。
私は「ひきこもり」を5年間ほど経験した40代です。
今は外に出れるようになり、楽しい生活を送れています。
今回は、そんな私のひきこもり時代をお話しします。
ひきこもり時代と言っても、その期間で行動や心理が違っていました。そのため、初期、中期、後期の3段階に分けてお話ししたいと思います。今回は初期編となります。
そして、私にはこんな想いがあります。
- 「ひきこもり」と無関係な方には、「ひきこもり」の事を知ってもらい偏見を減らしたい
- 現在「ひきこもり」の方には、自分はおかしな人と思って欲しくない
- ご家族が「ひきこもり」の方には、接し方のヒントにしてほしい
これから3つのことをお話しします。何かのお役にたてたら嬉しく思います。
- ひきこもり時代にとっていた具体的な行動
- そのときの気持ち
- ヒントになるようなお話し
「ひきこもり」は社会で解決すべき問題です。家族だけで乗り越えることは困難です。そして、適切な支援を受け新しい人生を歩み出しましょう。
「ひきこもり」は不幸ではありません。
ひきこもり時代にとっていた具体的な行動
「ひきこもり」の初期段階は、こんな行動をとっていました。
- 何もしない
- 気分が良いときと、落ち込んだときの落差が激しい
- たまには外に出られる
- たまに転職サイトを見る
- たまにはテレビなどを見て家族と談笑する
- ネットで「ひきこもり」「自殺」などのワードを調べる
- 友人からの連絡を無視するようになる
- 匿名掲示板を見るようになる
- ネガティブなニュースで落ち込む
- 死ぬ場所を探す
- 独り言が増える
調子の波が激しかったと思います。そして、自分が「ひきこもり」だということを理解していない状態でした。なぜなら、たまには普通の人が送るような生活もできていたからです。
「自分は少し休んでいるだけ。。。」
「本当のひきこもりとは違う。。。」
当時は、本気でそう思っていました。
そして初期対応を、どんどん遅らせてしまうことになります。
そのときの気持ち
次は、初期段階の心理状態をお話しします。当時、私はこんな気持ちでいました。
- 自分はひきこもりではない
- その気になったら外に出られる
- はやく仕事をしなくては
- こんな状態では働けない、働きたくない
- 他人には、こんな自分を見せたくない
- 人と会いたくない
- もう誰も自分には連絡してこないで
- このままの生活を続けられるはずがない
- 焦り、不安
- 死にたい
多くの矛盾する気持ちを抱えていたと思います。
働かなければ⇄働きたくない
幸せに生きたい⇄死にたい
誰も構わないで⇄誰か助けて
今思うと、1番苦しかった時期です。最も希死念慮(自殺について考え、計画すること)が強かった時期でもあります。
ヒントになるようなお話
ここからは、乗り越えた今だからこそ思えることです。それぞれまとめてみたので、何かのヒントにして頂けたらと思います。
出来たこと(ここに注目し大きくしていくことが望ましいです)
- たまに買い物へ行く
- 家族と会話を楽しむ
出来なかったこと(ここに囚われすぎないことが大切です)
- 就労する
- 趣味をやる(映画や漫画)
- 興味ありそうなものを探す
した方が良かったこと
- 働けない状態であることを受け入れる
- 第三者に相談する
- 期間を決めずに回復に専念する
しないほうが良かったこと
- ネガティブワードの検索
- 自ら孤立化を進める
- 匿名掲示板の悪意のあるコメントを真に受ける
ここで1番お伝えしたいことは、「できることや興味があることに注目する」です。また逆に「できないことや嫌なことに囚われすぎない」ことも大切です。
理由は、前者に回復の糸口があったからです。今はその得意なことや、元々やってみたかったことを仕事にすることができました。
日本は「楽なこと=ダメなこと」「苦労や困難=良いこと」といった風潮があります。確かにそう思うこともありますが、それは心身の状態が健全であることが前提に思えます。ひきこもり状態の心身で無理を強いることは、足が折れているのに走るようなものです。
また、初期段階では家族と笑って話したりできていました。もちろん塞ぎ込んで会話もできないときもありました。家族とコミュニケーションが取れるうちに、どのような環境に身を置くかが、大きな分かれ道になってくると思います。そして、この段階で家族との信頼関係が壊れてしまうと、深刻化と孤立化に拍車がかかるように思えます。
今振り返ると、働けない心身の状態であることを、なかなか認められない自分がいました。そして、できることもしっかりあったにも関わらず、できないことばかりに目を向けていました。
「家族に迷惑をかけているのに、楽しそうにしていてはいけない」
そんな言葉を自分に言い聞かせていました。結果、必要以上のストレスを自身に課し、自己肯定感を下げ続けることになりました。
まとめ
これはあくまで私の体験記です。
第1回目でもお話ししましたが、「ひきこもり」の経緯や状況は10人いたら10通り。私とは、言動や感じ方が違う方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし、なにか1つでも通じる部分があったら、ご自身に合う形で取り入れてみてください。
そして、今は「ひきこもり」と無縁の方に、知ってほしい事があります。
怠けたくて、ひきこもっているわけではない
「何もしない」「何も役割がない」「誰からも必要とされない」という生き方は想像以上の地獄でした。
ハタから見れば何もしておらず、楽をしてそうで、自業自得のように感じるかもしれません。
しかし、本人は常に苦しいのです。
次回はひきこもり時代の中期編です。
リンク
ひきこもり VOICE STATION (厚生労働省)
KHJ全国ひきこもり家族連合会
ひきこもり支援推進事業(厚生労働省)
全国の相談窓口
ひきこもっている方にオススメ書籍
好きなことを追求する生き方
さかなクンーオフィシャルサイトー
「学校に行きたくない君へ」 ポプラ社ホームページ
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