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【体験談】チャイルドドクターで翻訳ボランティアをしてみました

手紙 プロステイホーマーの道
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自宅でできるアフリカ支援!チャイルドドクターで翻訳ボランティアをしてみました。

アフリカやスラム街の支援と聞くと充実感がありそうだし、ちょっと憧れることってありますよね。でも現地まで行くと飛行機代、宿泊費もかかりますし、危険を伴うためハードルは高いんじゃないかと思います。

でも今の時代、自宅でもオンラインでスラムの支援ができちゃうんです。寄付するお金が無くても、現地に行く時間が無くても、少し英語力があれば翻訳ボランティアができます。

そこで、これまでに約3800通の手紙を翻訳してきた筆者が、チャイルドドクターの翻訳ボランティアを解説します。

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チャイルドドクターとは

アフリカの街並み4

チャイルドドクター(以下チャイドク)とは、ケニアのナイロビ周辺で子供たちに医療を提供する活動を行っているNPOです。チャイドクスタッフにも医師の方がいますし、病院に行った時の治療費、薬代を支援する活動もしています。

ナイロビ周辺には、いくつもスラム街があり、アフリカ最大のスラム、キベラスラムもそのうちの1つです。なので相当な数の人がスラムに住んでいて、子供の医療費を払えない人もたくさんいます。

そこで日本人から寄付を募って、現地の人に渡す橋渡しをしているのが、チャイドクです。そして翻訳ボランティアは何をするかというと、寄付をもらった現地の人とお金を寄付した日本人が手紙をやり取りできるように、英語↔日本語翻訳をするのが翻訳ボランティアの仕事です。

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英語力は必須!現地の独特な表現も

アフリカの街並み

基本的に、手紙は話し言葉で書かれていますので、それなりに英語が出来れば十分可能です。洋書や英字新聞がスラスラ読めなくても、海外ドラマや洋画が英語で理解できればなんとかなります。ただしケニアはイギリスの植民地だったので、イギリス英語に近い使い方が多いです。ケニア独特の単語の使い方もあるので、慣れるのには多少勉強が必要です。印象に残った単語を少しご紹介します。

wired toy

時々手紙を訳しているときに見かける「wired toy(ワイヤード トイ)」という単語。「子供がワイヤードトイで遊んでいる」とか「車のワイヤードトイを買ってあげた」と書いてあります。ワイヤードには配線したとか、回線に接続したという意味がありますから「ラジコンか何かかな」とも思ったんですが、貧しいスラムの子供がラジコンを持っているというのは不自然です。スタッフに質問してみたところ、ワイヤーはいわゆる針金のことで、針金を曲げただけのおもちゃのことでした。車のワイヤードトイだったら、ただ車の形に似せて針金を曲げただけです。それが売れるんだから、スラムはよっぽどものがないんだろうなと思います。

写真を見ていても「おままごとしています」と書いてあっても、たいてい石と砂だけで遊んでいる子が多いです。あとは、廃棄された自転車のタイヤのチューブで遊んだり「最近スラムでシャボン玉が流行っているよ」と書いてある手紙もありました。最近あんまり日本では見かけませんね、シャボン玉。日本の子供はゲーム機で遊ぶ子が多いんじゃないでしょうか。

でも意外と子供たちはスラムでも楽しそうなんですよね。男の子はたいていサッカーに夢中ですし、女の子は友達とジャガイモでポテトチップスを作ったり、大きい子も小さい子も遊び相手には事欠きませんから「日本で誰ともしゃべらず引きこもってばかりいる自分とどっちが幸せなんだろう?」と考えるときもあります。ただ子供たちが気が付いていないだけで、スラムには危険なことがたくさん潜んでいるのかも知れません。

hotel

手紙では子供のお母さんが「ホテルで働いている」とか「ホテルの仕事をしています」と書いてあることがよくあります。最初は、ナイロビのビジネスホテルで清掃の仕事でもしているのかな?と思ったのですが、ある時写真を見ると、ホテルと書いてあるんですが出店のような小さい食堂が写っていました。広さは2~3畳ほどでテーブルは4人掛けのものが1つだけ。屋根はありますが、壁は3面しかなくて「え?ホテルってこれのこと?」と思いました。どうやらスラムでは「ホテル」は食堂を指すようです。

ちなみにスラムでは商店のことを「Kiosk(キヨスク)」と呼びます。綴りも同じなので日本のキヨスクから来ていると思います。こんなところまで日本語が飛び火していっているんですね。

私たちの知らない「スラムの現実」

アフリカの街並み

アフリカは日本と文化が全く違いますし、スラムは日本人には考えられないような環境なので、翻訳をしていると、えっ!と驚くようなことがたくさんあります。

劣悪な居住環境

スラムの多くの家はトタンのような鉄のシートでできているのですが「夏は熱くなるので、日中家の中にいられません」「子供が転んで鉄のシートで大けがしました」などと手紙に書かれていて「大変そうだな」と思うことがたくさんあります。しかも隙間だらけなので、虫もたくさん入ってくるでしょうし、温暖な気候のケニアでもさすがに冬は寒いと思います。

また、スラムは排水システムが確立されていないので、大雨が降れば浸水、洪水になりますし、電気配線もいい加減なのでしょっちゅう火事がおきます。むき出しの電気配線が多いらしく、雨の日には漏電して亡くなる方もいるようです。ある時、「家が洪水で流され、直後に新しい家が火事で焼けてしまいました」と書いてある手紙がありました。そういうときはチャイドクが緊急で食料や支援金を届けます。

日本のように洗練された貯水システムはありませんから、雨が降らなければ飢饉に直結します。コロナ過のときもそうだったのですが、食料価格が高騰して1日2食になることはよくあるそうです。そういうときもチャイドクが緊急で食料、支援金を届けます。

清潔とは言えない衛生問題

衛生環境も劣悪です。手紙には1枚写真が添付されていることが多いのですが、ある時、顔に大きな火傷のような傷ができた小さい子供の写真が添付されていました。チャイドクで支援している子供です。

手紙には「最近、近所で顔に火傷のような傷ができる病気が流行っています」と書いてありました。日本で流行る病気と言ったら、咳風邪とか鼻風邪とかその程度ですよね。「細菌が原因でここまでの症状が出るんだ・・・」と思い衝撃でした。それだけ衛生状態が悪く、子供が感染症になりましたとか、アメーバ赤痢になりましたという手紙は頻繁に見ますし、ときにはマラリアになりましたという手紙もあります。

「安全」とは何か?常に脅かされる命

アフリカの街並み

治安も非常に悪くて強姦、強盗、盗難、誘拐もあります。手紙ではあまり見たことないですが、殺人も多いと思います。2020年にコロナが流行しているとき、ケニアでは外出禁止令も敷かれていたので、経済が低迷し生活に困る人も多くいました。その時期の手紙には「近所の子供がさらわれて身代金を要求されている」と書いてあるものもあったので、ぎょっとしました。殺された子供もいたようです。日本ではほとんど聞かなくなった誘拐ですが、アフリカではお金にこまると過激な手段に出る人もいます。

実はこの治安の悪さが、医療を受けられない人が多い原因にもなっています。なぜかというと公立病院から薬が盗まれるからです。盗んだ薬は私立の薬局などに売られます。また、政府による給与の支払いが滞り、公立病院が機能していない時は、私立病院が治療費を値上げしたりするそうです。患者の足元を見ているわけです。こういうところはさすがに支援ではどうにもならなくて、ケニアの人達の倫理観が育たなければ、解決しない問題もあるんだろうなと思います。

それから、治安とは直接関係ないですが、アフリカではまだ体罰の習慣があります。小学生でも鞭で叩かれます。これはケニアではごく当たり前のことで、体罰が悪いことという概念がないので、現地スタッフの方も自分の子供を鞭で叩くと書いてありましたし、日本人からしたら叩かれる子が不憫に思いますが、どうすることもできないので仕方ないですね。子供も子供で、グレたら凶悪なことをします。先生を刺したり、学校に放火したりという事件もありました。日本がいかに平和かわかりますね。

悲しい手紙に綴られた「命の記録」

アフリカの街並み

チャイドクが支援している子供は、スラムという劣悪な環境で生活していますし、慢性的な病気の子もいるので、やっぱり亡くなる子供が年に何人かいます。

そういう時はスタッフの方から長文の手紙が届きます。つい先週ぐらいまで元気にしていた子が、ある日突然高熱を出して亡くなったり、前回の手紙では「元気に学校に行っています」と書いてあっても、次の手紙の時にはもうすでに亡くなっていて「今、遺体安置所にいます」と書いてあることもあります。

そういうときはやっぱり悲しいですね。日本にいると子供の死と向き合うことは滅多にないことですけど、これが世界の現実なんだと思います。

他にも例えば、障害を持った子の母親からの手紙で「お医者様に、今度手術を受けたらうちの子供は2度と歩けなくなる言われました」と書いてあったりすると、母親は今どんな気持ちだろうと、しばらく考え込んでしまうこともあります。

スラムと先進国、どっちが幸せ?

アフリカの街並み

スラムに住むというのは、一見デメリットしかないように思えます。常に食べ物の心配をしなければいけないし、犯罪も病気も多いです。でも少なくともスラムの人たちは孤独とは縁遠いように思います。人が多く、家には垣根がなく、助け合わなければ生きていけないからです。

日本は清潔でプライバシーもあって、最先端の医療が受けられ、食べ物に困ることがありませんが、引きこもりや孤独死の問題があります。マザーテレサは「富める人のほうが貧しいと思うときがあります。富める人のほうが内心孤独であることが多いのです」という言葉を残していますが、どんな人生にも楽しい部分もあれば苦労もあるんじゃないかという気がします。

自宅でできるボランティアにチャレンジしませんか?

手紙

本当は現地に行ってボランティアができれば1番なんだと思いますが、翻訳ボランティアも現地の人と支援者を繋ぐ大事な役目だと思います。手紙をやり取りするうちに、本当の家族の一員のようになっていく人も多いですし、自分自身の勉強にもなります。

英語ができない人はお金を寄付することもできるので、良かったらチャイルドドクターのホームページを覗いてみてください。

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