国民健康保険の保険料はけっこう高いのですが、退職して新たに国民健康保険に切り替える人の場合、退職理由によっては保険料が軽減されることをご存知ですか。
所得が低い、産前産後、災害などの理由も対象となりますが、退職理由が「倒産、解雇、廃業」のほか、「障害や病気・体調不良が理由となる自己都合退職」も対象となる場合があります。
退職後の健康保険とは
一般的には、勤務先の健康保険組合に入っていた人が、退職後は国民健康保険へ加入すると前年度所得による保険料算定で保険料がかなり高額になることが多いです。
そのため、勤めていた健康保険組合の任意継続で加入を続ける場合が多いのですが、国民健康保険よりは安くなるものの、保険料は雇用されていた時に支払っていた額の2倍となるため、大きい負担となります。
【健康保険任意継続制度の保険料について】
しかし、退職理由によっては、国民健康保険の軽減を選択するほうが安い場合があります。
扶養家族の有無や、在職時の標準月額によって、「任意継続」と「国民健康保険」のどちらが保険料が安いかが変わってきますので、各自、退職する時には自分はどちらが良いか調べておきましょう。
次の章からご説明するのは、「国民健康保険」の軽減の対象となる離職理由についてです。
障害や病気・体調不良以外にも、家族介護、配偶者の転勤に伴う離職など様々な理由が認定されますので、知識として知っておくと便利です。
「国民健康保険料の軽減」対象者
離職の翌日から翌年度末までの期間において、ハローワークで「非自発的失業(離職)者」として失業給付を受ける方が対象です。
「非自発的失業(離職)者」とは、雇用保険の「特定受給資格者」および「特定理由離職者」を指します。
ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知」の「12.離職理由」欄の「理由コード(2桁の数字)」が下記のコードのものが対象です。
「特定受給資格者」および「特定理由離職者」に該当するか否かは、住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)へ離職票を提出し、事業主及び離職者双方の主張に基づき、判定されます。
「特定受給資格者」とは
特定受給資格者とは、倒産・解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)等の事業主の都合により離職した者のことです。
「特定理由離職者」とは
雇い止め、又は正当な理由の自己都合退職が対象です。詳しくは以下です。
雇い止めにより離職した者
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る)。
※労働契約において、契約更新条項が「契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当します。
以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
1.体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
2.妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第 20 条第 1 項の受給期間延長措置を受けた者
3.父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
4.配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
5.次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
a) 結婚に伴う住所の変更
b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
c) 事業所の通勤困難な地への移転
d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
6.その他、上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑩に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
(※)給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。
つまり「1」の項目ですと、病気や体調不良で自己退職した人でも、その退職理由の内容に「正当さ」がハローワーク窓口で認められれば、「正当な都合がある自己退職」となるのです。
障害者手帳を持っている人、長時間残業で体調を崩した人などは認められることが多いので、ハローワークの失業給付資格決定手続きでは、ありのまま申告してみてください(失業給付の日数も増えます)。
対象となる離職理由の詳細は、ハローワークインターネットサービスでも公開されていますので、ご興味のある方は下記リンクをご覧ください。
【特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要】
軽減額と軽減期間
軽減内容
国民健康保険料は、前年の所得などにより算定されることになっています。
軽減は、前年の給与所得をその 30/100 とみなして行われます。
※具体的な軽減額などは、居住する市町村に確認してください。
軽減の対象となる期間
離職年月日の翌日が属する月から翌年度末までです。
※雇用保険の求職者給付(基本手当等)を受ける期間とは異なります。
※届け出が遅れても、遡って軽減を受けることができます。
※国民健康保険に加入中は、途中で就職しても引き続き対象となりますが、会社の健康保険に加入するなど、国民健康保険を脱退すると終了となります。
手続き方法
軽減を受けるには、届け出が必要です。居住する市町村の国民健康保険担当窓口へ確認しましょう。