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私の人生を支えたメロディ その3:聖飢魔Ⅱ 「EL. DORADO」 悪魔という存在の意味を考えさせる物語

生きづらさを抱えて
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「悪魔」という存在を、皆さんはどのようにイメージされるでしょうか?

もちろんその名に「悪」という字が使われるくらいなので、「悪いもの」「忌み嫌われるもの」という印象は夜で最も強いものでしょう。

今回紹介するのは、日本で最も大きな知名度を誇るヘビー・メタルバンド、聖飢魔Ⅱの代表曲 「EL. DORADO」

「悪魔」というイメージを非常に強く持つ聖飢魔Ⅱ。そんな彼らの楽曲が私がどのような影響を与え、生きる糧を与えたのか。今回はその真相を、ヘビー・メタルという音楽の存在の意味とともに探ってみたいと思います

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『EL. DORADO』とは

『EL. DORADO』は日本を代表するヘビー・メタルバンド・聖飢魔Ⅱの代表曲の一つ。

もとはメンバーのデーモン小暮やエース清水、ルーク篁らが過去に結成していたバンド「紫馬肥」の楽曲で、聖飢魔Ⅱの三枚目の大教典(アルバム)である『地獄より愛をこめて』にて、「EL・DO・RA・DO」という曲名で発表されました。

以後聖飢魔Ⅱによるリリースにおいて、異なる数曲のスタジオ収録バージョンが発表されました。楽曲としては聖飢魔Ⅱのミサ(ライブ)のラストを飾る曲として、信者(ファン)から多くの支持を集めている曲でもあります。

補足:「ヘビー・メタル」とは

いわゆるロック音楽の一ジャンルでありますが、一般的に「ロック」と呼ばれるサウンドの中でも重厚で荘厳、かつ激しくスピーディーなサウンドを持つ傾向の音が特徴といわれています。

その際たるイメージとして、歪ませた音色による攻撃的なギター・サウンド、重厚なリフ(楽曲を構成する基本フレーズ)とパワフルなドラムスを主とした低音重視のビートを持つサウンドが挙げられます。

この音楽は80年代にパンク・ロックの影響を受け、より攻撃性とスピード感を増したサウンドを持つグループが、イギリスで多数登場したことが発祥であるといわれています。

NWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)と呼ばれたこのムーブメントは、当時世界的に大きな広がりを見せたMTVの勢力に乗って、世界中に拡大していきました。

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強く心を惹かれた物語


私がこの曲に惹かれた理由は、MVのユニークさにありました。

楽曲に合わせて流れるドラマ仕立ての映像。一人の女子学生の顔がある朝、聖飢魔Ⅱのメンバーのようになってしまう、という奇妙な出来事から始まる物語です。

学校のクラスの中でポツンと奇妙な顔をした彼女はいつしかイジメの対象となるわけですが、展開していく中で実は彼女のような人間が一人ではなく、多く出現していくこと、一見「普通」と思われる人にも、彼女と似た傾向に変わっていく可能性があることを示唆しているようにも見えていきます。

非常にユニークな発想、アイデアのMVではありますが、この楽曲やヘビー・メタルというジャンル、そして物語で取り上げたポイントなどが驚くほどに絡み合い、一つの重要なテーマを訴えているようでもあります。

そのテーマとは「世に認められない特質の意味」。MVを初めて見たとき、ある日突然奇妙な顔となって周りからつまはじきにされる少女が、かつて周りから認められずイジメられていた自分と重なり、胸にこみあげるものをもたらしてきました。

激しい音の中に込められた「後押しする力」


高校時代はロックに熱中し、聖飢魔Ⅱも好んで聴いていた私は、この楽曲もリリース当時に知ってはいたものの、当時はそれほどに惹かれた記憶はありませんでした。

聖飢魔Ⅱは、もともとこの楽曲自体を用いた理由として、アルバム収録に対して深いテーマ性うんぬんではなく、製作期間の問題で楽曲が足りずに過去の曲を持ち出した、という逸話がある本作。「黄金郷」というテーマが、当時に聖飢魔Ⅱの「悪魔」というキャラクター性とどのようにかかわってくるかも見いだせなかったことが、その印象の要因にあったようです。

一方このMVでは、この曲がもともと全編が日本語の詞でありながら本編では英語、スペイン語が入り交じり、サビの部分で入ってくる日本語の詞が、まるで浮き立つように強い印象をおぼえさせてくれます。

早くゆけ 早くゆけ
見うしなわないうちに たどり着け
早くゆけ 早くゆけ
夢にまで見た 黄金郷(エルドラド)

迫害を受けた少女が「自分は一人ではない」と気づき、いつしか自身の目指す道を求めて、仲間とともに決死のエスケープを始める。

製作側が意識していたかどうかはわかりませんが、このMVの物語と楽曲のテーマは驚くほどに自分の中でつながりました。

「この歌は、自らに絶望する自分に希望を与え、後押ししてくれるものだ」と。

「悪魔」とは?「黄金郷」とは?


ヘビー・メタルが登場した80年代は、その音楽よりイメージされる過激性、凶暴性から悪、悪魔的存在などというイメージと結び付けられる傾向があり、海外ではこのジャンル自体を批難する声もありました。

海外でのヘビー・メタルに対する批判的な声に対し、ファンは「どちらかというと音楽自体に対し『悪』という根拠のないイメージをこじつけでなすりつけている」という意見で反発していました。そんな中で聖飢魔Ⅱは、敢えて自らを「悪魔」と名乗り音楽シーンに登場します。

その奇抜なイメージはメディアのさまざまな場面で話題を呼ぶ中で、大きな広がりを見せいつしか文字通り「信者」と呼べるほどの熱狂的なファンを続々と生み出していきました。

人気の広がりとともに彼らは音楽性を急激に進化させ、まさに「悪魔」という印象で作られたデビューイメージを、サウンドの重厚さをそのままに音楽の世界観をもっとグローバルな方向に進めていきました。その様は、まさにMVで描かれた世界観に沿ったもののようにも感じさせます。

彼らが当初より示した「悪」という印象は本当の「悪」、つまり社会より忌み嫌われるものというよりはむしろ「マイノリティ」、他との違いが目立つがゆえに、他との共存に壁を感じるもの。私にはそんなイメージに見えました。

その意味で彼らがビジュアルなどで見せ訴えているイメージは、私が生きていくための道を探る際の大きなヒントであり、合わせて未だ形の見えない自らの「黄金郷」を求める私自身の生きるモチベーションを作るものとなっているわけです。

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