はじめに
精神や身体に障害を持つ方にとって、「働くこと」はハードルが高いことが多いと思います。
- 足が不自由で会社に通勤することが難しい
- コミュニケーションをうまくとれず、同僚や上司と協調して働くことがなかなかできない
こういったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
最近は障害者であっても生活していくうえで必要な様々な金銭的支援や人的支援を受けることができますが、その中で「働く」ときに受けられる支援の一つが「就労継続支援」です。
この記事では
- 就労継続支援とは何か
- A型作業所とB型作業所の違い
の情報を提供するとともに、自分に合った支援を受けられるよう、
- A型作業所とB型作業所を選ぶときの判断基準
まで解説していきます。
最後まで読んでいただければ、皆さんにとって心強い味方になってくれる就労継続支援の内容を理解し、自分に適した種類の支援を受けることで今後の人生を充実させていく一歩を踏み出せると思いますよ。
就労継続支援とは? ~普通に働く以外の選択肢~
就職の一般的なイメージは、「企業や官公庁に入社・入庁して働く」という感じだと思います。労働者と企業・官公庁の間で就業時間や給料などの条件をすり合わせ、雇用契約を結んで働く方法ですね。実際に新卒採用や中途採用でもこの方式で働いている方が大勢います。
一方で、障害者にとってはこの方法だと就職したり働き続けたりするのが難しいケースも存在します。
- フルタイムで他の人と同じ仕事内容を行うことができない
- できる作業が限られる
こういった場合もあるでしょう。
このような一般就労が難しい障害者に対し、働く場所を提供してくれるのが「就労継続支援」です。事業所にもよりますが、
- 週1日しか通えない
- 軽作業しかできない
こういった場合でも働き、給料を得ることができます。
この就労継続支援ですが大きく2つの種類に分けることができます。「A型作業所」と「B型作業所」です。どちらも働く場を提供してくれるという点では同じなのですが、作業内容やもらえる給料(工賃)の金額、雇用形態などに違いがあります。
A型作業所とB型作業所の違い
A型作業所とB型作業所の違いを詳しく見ていきましょう。
対象となる年齢
A型作業所とB型作業所は年齢制限に違いがあります。
- A型作業所→18歳以上65歳未満
- B型作業所→制限なし
このようになっています。B型作業所には年齢制限がないため、特に気にする必要はありませんが、A型作業所は高齢になると使えなくなってしまうため、注意が必要です。
もらえる給料(工賃)の金額
結論としては「A型作業所のほうがB型作業所よりももらえる給料(工賃)が多い」です。
厚生労働省が発表している資料によると、令和元年度の一月当たりの金額は、
- A型作業所→78,975円
- B型作業所→16,369円
となっています。A型はB型の約4.8倍の金額をもらえていますね。
このような差が発生するのは、雇用形態の違いが関係しています。A型作業所は働く人と作業所の間で「雇用契約」を取り交わします。普通に一般企業に就職している人と同じ方法をとっているわけです。しっかりとした契約ですので最低賃金を定めた労働基準法が適用され、少なくとも最低限の給料は受け取ることができます。
一方でB型作業所では雇用契約を取り交わしません。これは、長く働き続ける場というよりは「A型作業所や一般就労にステップアップするための一時的な働き場所」といった意味合いが強いためかもしれません。契約はしないので作業所側に労働基準法を守る義務はなく、A型作業所と比べるともらえる給料(工賃)が低めになっています。
利用できる期間
A型作業所・B型作業所ともに「いつまでにやめなければならない」といった決まりはありません(A型作業所の場合は年齢制限に注意が必要です)。
ただ、A型作業所では雇用契約を結ぶため、1年や2年ごとに契約を更新していく形式になることが多いと思われます。B型作業所ではそもそも契約関係ではないため、更新といった考え方もありません。
A型作業所とB型作業所を選ぶ判断基準
A型作業所とB型作業所には、年齢制限や給料(工賃)などの違いがあります。これを踏まえて、A型作業所とB型作業所に適している人や、選ぶための判断基準を見ていきましょう。
A型作業所に適している人
A型作業所に適しているのは、
- 障害が重度ではない
- 一般就労より少しハードルが低ければ働ける
- なるべく高い給料が欲しい
上記のような方です。
A型作業所は、「就労継続支援の中では一般就労に近い」という特徴があります。障害が比較的軽めで少しの配慮で働けるという方は、給料などの労働条件が良いA型作業所を利用するのがおすすめです。
B型作業所に適している人
B型作業所に適しているのは、
- 重い障害がある
- 少しでも就労のハードルを低くしたい
- まずは働いてみて少しずつレベルアップしていきたい
上記のような方です。
B型作業所はA型作業所よりも求められるレベルは低く、その分就職のハードルも低いと言えます。
「自分の障害では一生働けないかもしれない…」
このように障害が原因で絶望している方にとっては希望となるでしょう。
給料(工賃)の低さはデメリットになってしまいますが、B型作業所に通ったのを機にできる作業内容が増えて自信がつき、より給料が高いA型作業所へステップアップできる可能性もあります。一時的に利用するんだと考えて入るのも十分アリだと思いますよ。
まとめ
今回は就労継続支援について解説しました。
- 就労継続支援では障害者に働く場を提供してくれる
- A型作業所とB型作業所がある
- A型作業所は一般就労に近くて給料が高い
- B型作業所はA型作業所より簡単な作業が多く、もらえ給料(工賃)が少ない
このような内容でしたね。この特徴を踏まえると、
- A型作業所
- 障害が重度ではない
- 一般就労より少しハードルが低ければ働ける
- なるべく高い給料が欲しい
- B型作業所
- 重い障害がある
- 少しでも就労のハードルを低くしたい
- まずは働いてみて、少しずつレベルアップしていきたい
こういった判断基準で選ぶとより、自分に合った支援を受けられるのではないかと思います。うまく制度を活用して、自立した生活を送れるよう頑張っていきましょう。