2022年12月に、大人の発達障害と診断された「くまたろう」です。私はこれまで、ちょっと変わった人として扱われてきましたが、本人も周囲の人たちも発達障害とは思っていませんでした。「ひとりっ子」「早生まれ」ときには「KY」として片付けられてきました。
なんとなく生きづらさを感じていたものの、「つらいのはみんな一緒!」そんな叱責が飛んできそうで、その生きづらさを声には出せませんでした。
このシリーズは、発達障害と知らずに生きてきた私が、以下のようなことを共有しています。
- なぜ発達障害の診断を受けようとしたか
- 発達障害の特性でどんなことに困っていたか
- 実際に活用している公的支援
- 精神障害者手帳取得に向けてやっていること
前回と今回は「困りごと編」です。特に困っていたことは人間関係。極端に言えば、それが元でうつ病も併発し、就労不能へと陥っていくことになりました。
今思えば「発達障害の特性だったな」と振り返ることができます。しかし、当時は私の特性を周囲の人たちはこう感じていたようです。
「いい加減な人」
「空気が読めない人」
「嘘をつく人」
そして私自身も「頑張って改善しなくては!」「このままでは周囲の信頼をさらに失ってしまう…」と空回りを繰り返していました。
今回の記事を読むことで、発達障害で悩む方には「同じような人がいるんだ」と安心に繋げて欲しいと思います。そして、発達障害をお持ちでない方には、周囲に「⁈」という言動をする人を見かけたら「ひょっとしたら本人は悪意がなく、苦しんでいるのでは?」と捉えていただけると嬉しいです。
前置きが長くなってしまいました。本題に入りましょう。
困りごと① 空気が読めない
「KY」という言葉が一般化したのはいつ頃かは定かではありません。少なくとも私が中学生の頃まではなかったように感じます。社会人になった頃は、すでに「KY」と呼ばれていました。
この「空気の読めなさ」はどこの世界に行っても指摘されました。空気を読む。そもそもに見えない空気を読むという表現が、まさに日本人らしさを象徴していると思います。
確かに円滑な人間関係を築いていくには「察する」という能力は必要不可欠に思えます。例えば、親しい友人が口にしない辛さを汲んで、温かい言葉をかけてくれる。そんな行為に人は救われることがあります。
しかし空気を読むことが苦手な私は、的外れな言動を人より多くしてしまいます。例えば、このような言動が多く見られます。
- 人が怒っていることに気づかない
- 相手の言って欲しい言葉より、自分の言いたい言葉を優先してしまう
対策
これは大きく分けて2つあると思います。
①対人関係が少い環境に身を置く
現在の私がとっている対処法です。個人で完結できる仕事だと、空気を読む必要性が下がります。結果としてKYと言われることが減りました。
②発言量を減らす
会社などで働いている方にオススメの対処法です。私は人と協働するときにコレを使っています。空気が読めないことは変えられませんが、それによる失言の頻度を大きく下げることができます。これまでの経験だと、空気が読めないこと自体で問題に発展することは少なく感じました。むしろ、読み間違えた空気の対処の仕方でヒンシュクを買っていたように感じます。シンプルな対策ですが高い効果を感じています。
困りごと② どこに行ってもイジメられる
私は物心がついた頃から常にイジメられてきました。クラス替えや進学で、学校生活をリスタートさせようと毎回思うのですが、どこへ行ってもイジメられてしまいました。
親や先生は「言い返せ!」「やり返せ!」「嫌と言え!」とアドバイスしてきます。しかし、子供の世界のイジメはそんな単純な構造ではありません。集団で、陰湿で、ひたすらに残酷な世界です。仮に言い返したとしても、その報復は火を見るより明らかでした。
大人になって「なぜ自分がイジメられ続けてきたか」を分析したことがあります。その仮説としては、
- グループの中で重要な地位にいない=味方がいない、イジメる側にデメリットがない
- 単純思考で騙しやすい
- 絶対にやり返してこない
イジメ考察ではないので深掘りは避けますが、私の特性で「単純思考」というものがあります。言い換えると「人を信じやすい」性質があります。また、「起きたことを忘れていく」という性質も持っています。それがからかいの対象になったように思います。そのような性質を持っていると、学校の中で一目置かれることもありません。
そんな私は、クラスメイトの「退屈しのぎの対象」となりました。
「こいつバカだぞ」
「騙しても気づかない」
「面白いからみんなでイジメようぜ」
そんな子供が持つ残酷な一面と、集団心理が重なって、私はイジメられ続けたのだと思います。
対策
結論から言うと「避難」が1番だと思っています。親や教師は「立ち向かえ!」と言いがちです。学校を休むことが1番悪いことのように誘導してきます。
私の考えは違います。イジメは地震や台風のような自然災害と同じだと思っています。命を失う危険性がある災害なのです。地震が起きたら逃げずに立ち向かうでしょうか?まず避難行動を取ると思います。ほとんどの場合、いじめる側は加減を知りません。対象を不登校や自殺に追い込んでいるという自覚がありません。そのためイジメが自然消滅することはまずありません。
それならば適切な距離を置き、避難することが重要に思えます。心を病んでしまい「深刻なひきこもり状態」になるよりかは、心が健全なうちに安心できる場所へ避難し、眠っている才能を磨いていく方法もアリだと思います。
困りごと③ 2次症状としてうつ病に
私は発達障害診断の前にうつ病の診断を受けました。当時、仕事の内容を覚えることができず、仕事に大きな支障が出るようになっていました。しかし、見た目は普通の状態。そうなると物を覚えないのは「やる気がない」「怠けている」「いいかげん」ということになっていきます。
「忘れるならメモを取れ!」と言われ必死でメモを取りました。すると今度は「何でもメモを取るな!」「空気を読め!」と言われます。
そのようなことが積み重なっていくと、職場で居場所がなくなっていきます。ある日、会社のエレベーターに乗ろうとしたら、待っていた周囲の人たちは乗らずに「1人でどうぞ」となっていました。会社で居場所がなくなったことを悟った日です。
対策
これは非常に難しいです。今振り返っても、何をすべきだったのかよくわかりません。
あえて挙げるなら、40代以降の大人で私のような困りごとを感じている方は、発達障害の可能性を考えてみることも1つの手だと思います。
そうすることで、何かしらの診断がおり、周囲の理解を得やすい環境を手に入れられる可能性があります。
今の幼児は、親や先生が一般的な発達(育ち方)と比べ遅れを感じると、発達障害の可能性を考えます(これはこれで別の問題はあります)。40代以上の世代になると、幼少期はそのような環境がありません。周囲の大人に「この子は発達障害なのでは?」という概念がなく、変わった子として扱われていくのです。
結果として、実は発達診断であったにも関わらず、生きづらさを抱えたまま大人になっていくケースがあるように思えます。
まとめ
完全に主観ですが、発達障害の特性で1番困ったもの。それは「人間関係」でした。今まで人間関係をうまく築けないことで「自分は人として致命的な欠陥がある」と感じてきました。
それが診断を受けたことで心が軽くなりました。心や人格の問題ではなく、脳機能の問題と分かったからです。