こんにちは!くるみです。
一般就労と、作業所での就労。どちらも経験した私が「作業所」(就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)の知られざる世界を皆さまにお伝えしていきます。
作業所への通所を検討しているけど迷っている、障害のあるかたに。
障害者じゃないけど作業所ってどんなところなのか気になるぅ~。
そんなかた達に少しでも役立つと嬉しいな。
今回は、ゆるい桃源郷のような作業所を、どう活用するかについてですよ。
※辛口な意見も書きますが、各々の作業環境や障害によっても異なりますので、あくまでも私の経験した範囲での事とご承知おきください。
どこの作業所も桃源郷なのか?
前回の記事では、あまりにも緩い時間の流れに戸惑ったことを書きました。でも、どこの作業所でも緩い世界なのかというと、答えは「NO」です。
まず、A型事業所かB型事業所かによって大きく変わりますね。A型は最低賃金額が義務付けられた「雇用」という就労形態ですので、能率の低い働き方をしていると利益が出ません。利益が出ないと利用者に賃金を払えませんから、それなりに効率よくテキパキと働くことが求められます。
一方、B型事業所は最低賃金の制度が適用されません。そのため効率よく仕事が出来ず利益が少なくても、その利益だけを利用者に工賃として割り振るだけでいいので、時給に換算すると100円~300円など低いところが多いです。よって、効率重視ではなく、利用者一人一人に合ったペースで作業してもらえるのが特徴。趣味的な作業(ほとんど儲からない)のためゆっくり作業していいよ的な人もいたりします。
B型であっても高い工賃を支給できるよう、効率重視や独自の工夫で進めている作業所もありますので、本当に実際のところは「作業所によって、さまざま」だということは強調しておきます。
桃源郷であることを最大限に活かすべし
実は、私が配属されたデザイン部門は、常態的な「ザ・桃源郷」ではありませんでした。てへっ。
もっと作業に慣れてから分かったことですが、忙しい時とそうでない時とがあり、忙しい時は目が回るような忙しさでした。
だけど入りたての新人で、デザインソフトの使い方も慣れていない私には、まだ大した作業は任せられない。そこで、使い方の習得を目的とした「ザ・桃源郷」コースだったわけね。
この桃源郷にいるときは、作業効率や費用対効果を気にする必要は一切ありません。自分のペースで、ゆっくり学べます。ソフトを使って練習課題をこなし、徐々に難しい事が出来るようになっていくのです。
一般企業だとこんなにじっくりと教えてもらえません。というか、ソフトの操作は行える前提でしか採用してもらえない事がほとんどですよね。企業は営利主義ですから、のんびりと学習するのは自分で行えということになるわけです。
だから桃源郷に居ることを感謝し、目一杯スキルを身に付けよう!
だって専門学校とかのデザイン講座に通えば、すごく費用がかかるわけよ。作業所を利用するには所得に応じて利用料がかかりますが(追って、また詳しく書こうと思います。割合的には利用料が無料の人が多いです)、かかったとしても専門学校のようには、かかりません。
ただ、職員さんも忙しいから、私一人にじっくり時間を割けないわけね。これが一番のネックかな。
そして職員さんのスキルの程度ね。スキルの高い職員さんがおられると学べることも多いです。でもこれも作業内容によりますね、特に専門性を要しない作業なら、職員さんの専門性よりも人間性、支援方法が要になってきます。
桃源郷であることのデメリット
それなりにソフト操作が習得でき、実際の仕事を行うようになると、少し忙しくなりました。でも一般企業に比べればまだまだ「そこそこ桃源郷」です。
受注が減る時期は、やることが何もなく、お金にならない「練習」とかをしているからです。これが一般企業との決定的な違いでしょう。
もちろんこれも将来の仕事に向けての大切な練習です。できる事を増やせば受注する仕事の幅も広がりますから。
でも、ソフト操作を習得し、仕事になる作業ができるようになった利用者が練習をまる一日、明日もまる一日、しているとしたら普通なら「売り上げ、大丈夫かい?」となりますよね。固定給なら「やることなくてラッキー!」と私なら言っちゃいますが、B型事業所は歩合制みたいなものですからねぇ。
こんなことしていて大丈夫なのかな?と思う瞬間が多々ありました。
大まかに言うと、売り上げからくる利益が減ったとしても、利用者への工賃が減るだけで職員さんの給与がすぐに減るわけではありません(長い目で見れば、作業所全体の平均工賃額が一定のラインを下回りますと、行政からの補助金が減らされることもあるため職員さんの給与にも跳ね返ってくる場合があります)。
本当なら、いつでも何らかの「お金になる」作業が有ることが理想です。作業をする事が経験を積むことになりますし、売り上げにもつながるというのが本来のあるべき姿だと思いますが、そのために新たな仕事を求めて営業開拓をするというところまで手が回る作業所は少ないのかもしれません。
そうなると空いた時間は「何か適当に練習しといて」となるわけです。これが「そこそこ桃源郷」な原因なのでしょうか。
まとめ
効率重視、利益重視でバリバリ作業することが障害の程度や特定的にしんどいという人もいます。そういった人は無理をすると潰れる原因になりますから、それは避けたほうがいいです。自分のペースで作業が出来る「けっこう桃源郷な」作業所を選ぶことをお勧めします。
体力や気力には自信があるからどんどん作業して、工賃もたくさんほしい!という人は、どんどん仕事をこなしていく方針の作業所を選ぶべきでしょう。
つまりは自分のニーズに合ったところを選ばないと、自分が望むことと異なり、ストレスになるということですね。
作業所の利点は、主に
- 障害が有っても自分に可能な仕事をして(少なくても)工賃や給与を受け取れて達成感が得られる。
- 障害がある事が前提なので、障害に配慮した作業環境が整っている。
- 障害の特性を活かした作業を用意している作業所もあり、自分の可能性の発見につながる。
- 一般就労の自信まで無い人が準備するための訓練期間となる。
…ことだと思うので(これ以外も色々ありますよ!)、自分がどのような働き方をしたいのか、考えながら作業所選びをしたいものです。