いわゆる英語のことわざや慣用句など、中学校、高校時代にはたくさんの言葉を習いましたよね。私にはもう「習った」という事実だけが残り、大半の学習内容は頭の中から消えてしまっていますが…(笑)
It’s not over till it’s over.
この言葉は、果たして学校で習ったものであるかどうかの記憶にはないものの、非常に強く私の頭に刻まれた語句であります。
直訳すると「終わるまでは終わりではない」という少し意味不明なものでありますが…「本当に終わるまで『おしまいだ』と諦めてはいけない」という、何らか人を鼓舞するメッセージを示しています。
そして英語には疎い私でも、スターシップが歌うこの曲のフレーズは、ふっと自分の頭にそのイメージを鮮明に広げたわけです。
『It’s Not Over (‘Til It’s Over)』とは
ロックバンド・スターシップ(Starship)が1987年に発表したアルバム『ノー・プロテクション』に収録した曲の一つで、のちにシングルカットされ、MVも作られました。
同時期の作品としては、映画『マネキン』の主題歌となった『愛はとまらない(Nothing’s Gonna Stop Us Now)』が全米1位を獲得する大ヒットとなりました。
ちなみにスターシップは、1960年に活動していたバンド・ジェファーソン・エアプレイン(ジェファーソン・スターシップ)より分離派性したバンド。1985年よりグループとしての活動をスタートし1990年に一度解散するも、1992年より「スターシップ・フィーチャリング・ミッキー・トーマス」の名で再スタート、現在も活動を続けています。
英語に疎いはずの私にもスッと入り込んできた強いメッセージ
自分のすべてのことにコンプレックスがあり、何か一つでも克服できないものか…といつも悩んでいる自分に対して、初めてスターシップのこの曲を聴いたときからこのフレーズは異様なほどに自分の中で響いてきました。
It’s not over ‘til it’s over
It’s not over ‘til we get it right
(訳)本当に終わるまで“終わり”じゃない
俺たちが確信し認めるまで”終わり”じゃないんだ
そのフレーズ自体がわかりやすいのか、あるいはそんな熱意のある歌なのか…その曲が自分に何故響いてきたのか、実はよくわかっていません。
しかしよくわからないままに、そのフレーズは不思議と自分の中にあっさりと沁み込んで気持ちを鼓舞してくる、その様子に胸騒ぎがしてじっとしていられない気持ちがありました。
こんな単純なメッセージ。日本語でストレートに言われていたら、どこか気恥ずかしさみたいな気持ちから受け入れられなかったのかも。その意味で英語によるメッセージは、かえって自分にとても響いたのかもしれません。
また曲調としてはロックながら、意外に音がシンプルで隙間が多い感じもしますが、それも私の耳を捕らえた要因だったのかもしれません。
特に「叫ぶ」というイメージがピッタリなカッコイイギタリストのソロがわりに静かな空気感の中で響き、そこから一気に…という感じでもなく淡々と後サビに進んでいく感じも、実はすっかり参ってしまったポイントでありました。
人生の節目にふと「励ましてもらいたくなる」曲
いかにも80年代の洋楽、といったこの楽曲。スターシップの楽曲としては、他にも概要欄にも載せた「愛はとまらない」や「シスコはロックシティ(We Built This City)」「セーラ」といったヒット曲、代表曲が存在しています。
ただやはりそのメッセージ性と落ち込んだ気持ちを鼓舞し前に向かせてくれるそのリズムより、私はどうしもこの曲を推してしまいます。
以前の記事にも書いたのですが、四年ほど前に私が東京を離れる・新宿にあるロックバーを訪れたときにもこの曲がふっと思い浮かび、なにか「忘れてはいけない自分の気持ち」を確かめるようにその音に身をゆだねた覚えがあります。
私のような年齢の人間に対して、客観的に「もう人生の終わりを考え始めるときだ。今さらなにかを目指すなんて…」と意見する人も多くいることでしょう。
そんな考え方も確かにあるし、そう指摘をされると私はやはりさすがに落ち込むのですが、そんなときにはふっと気分を切り替えて一呼吸、深く息を吸ってこの曲を思い出します。
そして「私はどうしたい?自分自身がどう思うかが大切だ。自分が心底諦めたときが最後なのだから、諦めてないのだったらまだ挑戦すればいいじゃないか!?」そう自分に言い聞かせ、また新たな一歩を踏み出すべく悪戦苦闘を続けているわけであります。