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韓国映画『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』 激動の時代の片隅で「生きづらさ」に抗い道を進む二人の少女の姿

生きづらさを抱えて
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激動の時代の片隅で人生に悩みながら生きる若者の姿を描いた、韓国発の青春映画『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』が全国順次公開されます。

近代韓国の幕開けとして激動の時代となった西暦2000年直前という時代に自身の生き方に悩みながらも、自分自身の道を選び歩んでいく少女たちの姿を描いたこの物語。

時代の中に「生きづらさ」を感じることが注目されつつある現代において、さらに厳しい時代があったという事実を改めて考えていくべき、そんなメッセージをたたえたような青春映画作品であります。

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映画『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』とは

作品概要


1999年の韓国を舞台に、まだ階級差別や性差別が色濃く残っていた社会状況の中で懸命に生きた少女たちの愛と成長を追う青春映画。

作品を手がけたのは、2020年の映画『담쟁이(「ツタ」の意 英語読み:Damjaengi 日本未公開)』を手がけたハン・ジェイ監督。メインキャストには『はちどり』(2018)のパク・スヨン、Netflixドラマ「イカゲーム」のイ・ユミが務めました。

製作年:2024年(韓国映画)
原題:우리는 천국에 갈 순 없지만 사랑은 할 수 있겠지(英題:No Heaven, But Love)
監督・製作・共同脚本:ハン・ジェイ
出演:パク・スヨン、イ・ユミ、シン・ギファン、キム・ヒョンモクほか
配給:クロックワークス

あらすじ

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世紀末の地球終末論の噂で不安すら漂う1999年。

学校でテコンドー部に所属する女子高生ジュヨンは、先輩たちから暴行されていたところを、少年院帰りの少女イェジに助けられます。

イェジは少年院から出所し、新たな自身の道を模索していたことでジュヨンの母が引き受けた少年院の家庭体験プロジェクトに参加しており、その後ジュヨンとイェジはこの偶然をきっかけに一緒に暮らすことになります。

不条理だらけの日常に悶々としていたジュヨンでしたが、彼女は友人たちと出かけた旅行先で、イェジに対して心に芽生えた思いに気づきます。そしてイェジもまた同じ思いに。

二人の夢のような時は過ぎ、現実に戻った二人は引き離されそうになってしまいます。またある日ジュヨンは親友に大変な事実があることに気づき、その大きな嵐に巻き込まれてしまいます。そして二人は……。

広く世界に伝えられる、絶望と希望の光景

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物語の舞台となる、西暦2000年を目前とした韓国。劇中に登場するポケベルや、ニュースで流れる「西暦2000年問題」などのトピックスは非常に懐かしく感じられるものであります。

一方、この時期の韓国は微妙な情勢にありました。1988年、事実上独裁的な政治を進めていた全斗煥(チョン・ドゥファン、日本語読み:ぜん とかん)大統領が失脚、民主化の動きを推し進めた盧泰愚(ノ・テウ、日本語読み:ろ たいぐ)大統領に政権が移り、国自体が大きく変化を遂げつつあった時代でありました。

この時期は旧態の思想をぬぐえない状況がまだあちこちに残っていた時代であり、特にスポーツの世界における上下関係などには、その傾向が顕著であったと考えられます。

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それは全斗煥元大統領の数少ない実績として知られる、1988年開催のソウル・オリンピックをはじめとした体制、風潮の影響もあり、国家代表などの経歴を持っていたものが高く優遇されていたなど、その傾向はさまざまな場面で余波を引きずっていました。

主人公の少女ジュヨンが冒頭よりテコンドーでの大成を夢見る中、生き方に悩む表情を見せるその背景には、そんな韓国の実情があったことが見えてきます。

そしてその旧態然とした状況の中では、男女差別という点においても顕著な状況が見られた時代、さらにLGBTQなどという言葉すらも存在しない中で、同性愛などは異質な視点で見られていた時代でありました。

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ジュヨンは自身の夢を追いかける一方で、国が大きく動きどのように変化していくのかも見えない不安が蔓延していた時代の中で、さらに古くからの習わしに苦しめられ、肩身の狭い思いをする中で出会った少女イェジと強いシンパシーを感じていったわけです。

息苦しい苦しい時代の中で彼女が安心できる、信頼とともに幸せを感じる瞬間にたどり着く姿を追ったのがこの物語であり、まさにタイトルどおりのイメージ「世には認められないかもしれないが、幸せを感じられる瞬間」を描いています。

少女たちの結末は幸せのエンディングとはなりませんが、彼女ら自身にとって最も重要なものを自身の心に刻んだ様子を見せており、忘れてはならない社会の複雑な一面を表すとともに、自身の望む姿を追うことの尊さを示す情景として作品をまとめています。

その意味では、生きづらさの中で人はどう自身の道を探していくのか、そんなことを考えさせられる物語となっています

映画『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』は2025年3月14日(金)より全国順次上映

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