「障害がある我が子は、親亡き後、金銭的な心配なく生きていけるのだろうか…」
障害がある子を持つ親なら誰しも、自分が死んだあとに子が生きていけるのか不安に思ったことがあるでしょう。日常的な支援(福祉サービスなど)を適切に受けられるかどうかはもちろん、お金が足りるかどうかも切実な問題。
親の貯金をできるだけ残しておいたり、障害年金を申請したりと対策は取っても、障害基礎年金だけでは食べていけない。
そこで親亡き後に月に2万円~(加入口数による)が子(障害者)へ支給される共済年金も検討してみてはいかがでしょうか。
毎月一定の掛金を納める仕組みですが、公的制度ですので障害年金と同程度の安定性があると考えて良さそうです(財務状況や将来予測の報告書も公開されています)。
意外に知られていないこの制度の概要を解説していきます。
制度の特徴
補足しますと、加入者全体で支え合うという共済制度なので、掛金すべてが還元される貯金や積み立てとは異なります。
保護者の死亡時期や、受給者となる障害者の死亡時期によっては掛金すべてが回収できないこともありますが、状況によっては大変手厚い保証となり得ますので、将来への備えとするには効果的と思われます。
それでは、主なメリットを見ていきましょう。
毎月2万円の終身年金が支給される
保護者が死亡、または重度障害になったときに、障害のある方に毎月2万円が生涯にわたって支給されます。(2口加入の場合は4万円)
但し、今後、経済情勢の変化などを踏まえた制度の見直しがあった場合、掛金額や年金額等が改定されることがあります。
掛金が割安
制度の運営に関する事務経費などの「付加保険料」が必要ないため、掛金が安いのが特徴です。
加入者(保護者)が加入した時の年齢によって、掛金の月額が異なります。一口あたりの月額は、年齢が35歳未満の場合は9,300円、60歳以上65歳未満の場合は23,300円と加入時の年齢が高いほど金額が高くなっています。(2024年2月1日現在)
加入時の年齢に応じた掛金額がそのままずっと適用されるため、加入は早いほうが負担が少なくなります。
また、加入から20年が経てば掛金が免除となります。生活保護受給者や市民税非課税世帯など収入面で掛け金を払うことが困難な場合には掛金の減免を行っている自治体もあります。
税制の優遇措置が受けられる
加入者(保護者)が支払う掛金は所得控除の対象になります。
障害のある方が受け取る年金には所得税及び地方税がかかりません。また、生活保護を受給される場合にもこの年金は収入認定されません。
公的な制度である
都道府県・指定都市が条例に基づいて実施している任意加入の制度です。
加入資格
加入者(保護者)、障害のある方、それぞれ以下の要件を満たす必要があります。
加入者(保護者)の要件
障害のある方を現に扶養している保護者(父母、配偶者、兄弟姉妹、祖父母、その他の親族など)であって、次のすべての要件を満たしている方が対象となります。
(1) 申し込みをする都道府県・指定都市に住所があること。
(2)加入時(口数を追加される場合は、口数追加時)の年度(4月1日から翌年3月31日まで)の4月1日時点の年齢が満65歳未満であること。
(3)特別の疾病または障害がなく、生命保険契約の対象となる健康状態であること。
*健康状態等によっては、加入できない場合があります。
(4)障害のある方1人に対して、加入できる保護者は1人であること。
障害のある方の範囲
対象となるのは、次のいずれかに該当する障害のある方で、将来独立自活することが困難であると認められる方(年齢制限はありません)。
(1) 知的障害
(2)身体障害者手帳を所持し、その障害が1級から3級までに該当する障害
(3)精神または身体に永続的な障害のある方(統合失調症、脳性麻痺、進行性筋萎縮症、自閉症、血友病など)で、その障害の程度が(1) または(2)の者と同程度と認められる方
*障害の程度によっては、加入できない場合があります。
どの程度の障害までが対象となるのか詳細には書かれていないのですが、国が行う障害年金とは別制度ですので、障害年金は認定されなくてもこちらの共済制度は対象になるという方もあるかもしれません。
手続き方法
保護者の方がお住まいの地域にある福祉事務所、市区町村役場等の窓口に、必要書類を添えて申し込む必要があります。
該当しそうなかたは一度、居住自治体の担当窓口へ問い合わせてみることをお勧めします。
以下に、制度の概要に関するリンクを載せますので、興味があるかたはご覧ください。
【障害者扶養共済制度(しょうがい共済)パンフ 独立行政法人 福祉医療機構】
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/r5fuyokyosai-p.pdf
【独立行政法人 福祉医療機構】
【厚生労働省】