Emotet マルウェアとは?
Emotet は、2014年に発見された悪質なマルウェアで、初めは銀行詐欺や個人情報の窃取を目的としています。もともとは銀行型(バンキング型)トロイの木馬として開発されたものですが、その後、機能が拡張され、ワームのように自己増殖し、他のマルウェアを配布するためのプラットフォームにまで進化しました。
Emotetは不断にアップデートされ、多様な攻撃手法で標的にされたシステムを感染させます。
特に日本では突出して被害が多く(2022年アメリカの20倍以上)、常に注意が必要です。
Emotet(エモテット)への注意喚起 IPA
Emotetの歴史
Emotetは、2014年に初めて発見されました。当初は銀行トロイの木馬として、銀行のアカウント情報を窃取するように機能していましたが、2017年移行にはにはワーム機能が追加され、感染拡大が加速しました。
さらに他のマルウェアをダウンロード・実行する機能が強化され、様々なマルウェアの配布プラットフォームとして悪用されています。
Emotetの主な機能
Emotetには、以下のような主な機能があります。
自己増殖:Emotetはネットワーク内で自己増殖し、感染拡大を図ります。
モジュール性:機能を追加することが容易で、他のマルウェアをダウンロード・実行できます。
スパムメールの送信:感染したシステムを利用して、システムに保存してあるメールアドレスにスパムメールを大量に送信します。
Emotet の感染経路
Emotet は、以下の感染経路を利用してシステムに侵入します。
メールによる感染:添付ファイルやリンクを含むフィッシングメールを送信し、開いたユーザーのシステムを感染させる手法が一般的です。
感染した人の連絡先などを使い、感染した人になりすまし、正規のメールを装ったメールも送信します。見分けるのが非常に困難になっています。
無線LANの感染:Emotet の亜種は無線LANに侵入し、ネットワーク上の他のデバイスを感染させることができます。
標的型攻撃:政府機関や企業など、特定の組織を標的にした攻撃も報告されています。
Emotet の実例
以下に、Emotet の国内外での攻撃実例をいくつか紹介します。
日本の自治体への攻撃:2020年には、日本の複数の自治体がEmotetによる攻撃を受け、内部ネットワークへの感染や情報漏えいが発生しました。
欧米の企業への攻撃:Emotetは、欧米の企業や政府機関を標的にした攻撃も行っており、感染による業務停止や情報漏えいが多数報告されています。
個人がおこなうべき Emotet 対策
個人が Emotet から身を守るためには、以下の対策が有効です。
セキュリティソフトの導入
もちろん、最新のセキュリティソフトを導入し、常にアップデートを適用することで、Emotetをはじめとしたマルウェアからの保護が可能です。
定期的なアップデート
OSやソフトウェアのアップデートを定期的に行い、セキュリティホールを埋めることが重要です。
メールの安全対策
不審なメールや添付ファイルは開かず、リンクも踏まないよう注意が必要です。
パスワード管理
強固なパスワードを設定し、定期的に変更することが望ましいです。また、異なるサービスで同じパスワードを使用しないようにしましょう。
2022年、大阪急性期・総合医療センターがランサムウェアの攻撃を受けた事件は、Emotet では内ですが、同じパスワードの使い回しが被害を拡大させました。
定期的なバックアップ
定期的にパソコンのバックアップを取りましょう、可能なら複数のメディアに、複数世代のバックアップを残しましょう。
企業が講じるべきEmotet対策
企業がEmotetを防ぐためには、以下の対策が必要です。
セキュリティポリシーの策定
セキュリティポリシーを明確に策定し、従業員全員が理解・遵守できるようにすることが重要です。
職員向けのセキュリティ教育
職員に対して定期的なセキュリティ教育を行い、Emotet などのマルウェアに対するリスク認識を高めることが求められます。
セキュリティ対策の導入と監視
最新のセキュリティ対策を導入し、定期的に監視・評価を行うことで、Emotetを含む様々なマルウェアからの防御が可能となります。
バックアップと事業継続計画
万が一の感染に備えて、定期的なデータバックアップを行い、事業継続計画(BCP)を策定しておくことが望ましいです。
まとめ
Emotet は、自己増殖機能やモジュール性を持ち、様々な感染経路を利用してシステムに侵入する非常に危険なマルウェアです。
個人や企業は、適切なセキュリティ対策を講じることで、Emotetからの脅威を軽減することが可能です。
最新のセキュリティ情報に注意を払い、セキュリティ対策を常にアップデートすることが、Emotetを始めとするマルウェアから身を守るための鍵となります。