はじめに
趣味:映画、読書、建築めぐり、よそ様の知らないマイナーなものに接すること
と自己紹介では申し上げております。いろいろありますが、ひとまずTOPにあるのが映画。これは『映画しか娯楽のなかった最後の世代』である両親を持つが故のこと、という事となります。
古い映画好き
とはいえつくづく思うのは私はとことん新しい映画に弱い。ということであります。1985年以降が〈新しい〉範疇に入るのかどうかは議論の分かれるところでしょうが。
偏った
いや、まったく観ていないということではありません。『タイタニック』は観ていないが『ゆきゆきて神軍』やら『全身小説家』は観た。などという極端な偏りがあったりするからで。どうにもカッコつけているようでイヤなのであります。
あの頃観た映画
やはり10代のあの頃、感受性も記憶力も頗る良かったあの頃に観た作品は、大脳のヒダ一本一本に喰い込んでいるのか、いまだハッキリと新鮮な状態でわが身に残っております故、どうしても昔の作品に偏重する傾向にあります。んまァ仕方ない、そういうヤツだと思っておつきあい頂ければと思います。
灰とダイヤモンド
【DATA】
『灰とダイヤモンド Popiół i diament』 1958年ポーランド
監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ズヴィグニエフ・チブルスキ、エヴァ・クジジェフスカ
【ストーリー】
1945年5月、ドイツ軍降伏直前のポーランドで起こった、レジスタンス活動家たちの内紛が描かれる。祖国復興のために、闘ってきた同志たちがわずかな違いのために反目しあい、殺しあっていく。ラスト、主人公マチェック(ズヴィグニエフ・チブルスキ)が官憲に追い詰められていく。真っ白なシーツがマチェックの血で美しく汚れていくシーン。ゴミ捨て場で血まみれになり、のたうち回りながら死んでいく様は、まるで死の舞踏を見ているかのよう…。
感想
『父殺し』という言葉を覚えたのも、この作品を論じた文章(佐藤忠男だったか?)からでした。
ふた晩もウナされたのは、主人公たちへの感情移入も去ることながら、製作者のアンジェイ・ワイダの苦しみがダイレクトに伝わって来たからです。どう考えても、喜んで作っていない。自ら歩んできた道を、自分たちが作り上げてきた道を苦しんで、悲しんで見つめている。イヤならやめればいいじゃない?作らなければいいじゃないか。というのが、当時の率直な気持ちでした。
まとめ
でも、作るしかない。作品を作り上げることでしか昇華できないというのがクリエイターというものなのでしょう。作家とは『業』を抱えているものだし、表現とは『業を肯定』する事だ、と言ったのは立川談志だったでしょうか。まさしくその通りであると感じ入った作品でした。