袴田事件を皆さんはご存じでしょうか?静岡県清水市横砂[現: 清水区横砂東町]で起きた、強盗・殺人・放火事件です。
その事件の中で、4人もの命が奪われました。
その事件の犯人として、被告人の袴田巌さんが死刑の判決を受けましたが、その後の調査などで再審されることになるなど、様々なことが起きています。
真実はどのようなものなのか、真相に迫ります。
袴田事件とは
1966年6月30日に、静岡県清水市横砂[現: 清水区横砂東町]で起きました。
被害者は、味噌製造会社の専務とそのご家族、合計4名。自宅が放火され、焼け跡から4名の遺体が発見されました。
専務は5人家族で、たまたま長女は別の所におり、家族の中で唯一無事でした。
犯人とされたのは、当時、味噌工場の従業員であり元プロボクサーであった袴田巌さん。社宅からは、当時犯行で使用されたであろう血の付いたパジャマが見つかり警察に押収されています。
プロボクサーを引退して5年ほどたった時の出来事でした。
放火と殺人容疑で逮捕された袴田巌さんは、警察や検察の取り調べ、裁判を経て死刑の判決を受けました。
捜査の中で、みそ樽の中から、血の付いた5点の衣類が発見され、DNA鑑定の結果、袴田巌さんのものと一致したことが、死刑の判決の決め手となったようです。
しかし、その後の調査の中で、再DNA鑑定の結果、袴田巌さんのものと一致しないことが判明します。
袴田巌さんの弁護団は、1981年に再審請求を行いますが認められず2008年に棄却されます。
再度、再審請求を行うと同時に衣類の味噌漬け実験結果を新たな証拠の一つとして提出するなど主張を行い、2014年3月27日、再審開始と、死刑及び拘置の執行を停止する旨決定がなされ、袴田さんは48年ぶりに釈放されました。
しかし検察官が即時抗告し、2018年6月11日、東京高裁は、DNA鑑定の疑問などがあり信用性にかけると判断。再審開始決定を取り消しました。
2020年12月22日、最高裁は、高裁決定を取り消し、差し戻しを行います。そして2023年3月13日、東京高裁は検察官の即時抗告を棄却する決定を行い、検察側もそれに対する特別抗告を断念したため、再審開始が確定しました。
— 芸能情報.com (@com20402607) June 16, 2018
警察の取り調べは正常だったのか
放火と殺人容疑で逮捕された袴田巌さんは、取り調べを受ける中で、数人の警察官から暴行を受けたという。
また、睡眠を妨害するなど、意図的な精神・肉体を疲弊させるような尋問を刑事などから受け「自白させるよう」に様々なことをされたという。
また、社宅から発見されたという血痕がついたパジャマのサイズは、袴田巌さんのサイズとは合わなかった。
DNA鑑定の結果からも、実際の被害者のものと一致しないことから、警察関係者による捏造の可能性が大きく、【自白の強要と証拠の捏造】の疑いが強いと言われている。
48年間という年月の重み
袴田巌さんが、死刑の判決を下された大きな要因は、当初、警察が証拠としていたDNA鑑定の結果でした。
しかし、そのDNA鑑定は一致している証言があったが、この内容が実はでっち上げの可能性が大きく、袴田巌さん釈放となりました。
当初証拠として出すはずの結果が、実は警察関係者よる捏造があり、そのことで48年もの間、袴田巌さんは自由を奪われていたことになります。
人生において、48年という年月の損失は計りしれなく大きいと思います。
色の違い
捜査をしていく中で、事件発生から1年2ヶ月後、味噌の樽から発見された5点の衣類。見つかった衣類の血痕の色は、「赤色」でした。
事件が発生した当初に、様々なところの捜査が行われ、味噌タンクの中も調査されていたようです。しかし、1年2ヶ月後に味噌の樽から衣類が発見されたのです。
これほど大きなものが、味噌の樽に入っているのであれば気づくはずが、なぜか事件発生直後の捜査では発見されなかったようです。
検察側が、「袴田巌さんが犯行に及んでその後、隠した」と言っていますが、衣類の血痕が1年2ヶ月もの間、赤色のままであることはあまり考えられないようです。
血液は、果たして1年2ヶ月もの間に変色することなく、赤色なのでしょうか?
実際に検証することになり、条件を変えながら血痕の色について調べる実験が行われました。
すると血痕は、時間が経過するとともに茶色に変化していたのです。
また、発見された衣類を実際に袴田巌さんに試着してもらった際には、サイズが合わなかったようです。
とても不可解な要素が多く、実際の事実とは違うのか真相は明らかになっていません。
まとめ
袴田事件は謎が多く、いまだ未解決の事件です。
年月が経った事件でもあり、現在は定かではないことも多くあり、調査が難航していることも確かなことでしょう。
ただ、自白強要や捏造はもってのほかですし、再審という真相究明のための手段さえなかなか認められないというのは、今の日本の大きな課題なのではないでしょうか。
真犯人は実際にいるのか? 真相は闇に包まれています。