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映画『ジェリーの災難』 巧妙な集団詐欺の残忍な犯罪事実を被害者自らが映画出表現

生きづらさを抱えて
(C)2023 Forces Unseen, LLC.
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巧妙な集団詐欺に出くわしたという実在の人物の実話をドラマ化した映画『ジェリーの災難』が全国順次公開されます。

闇バイト、集団詐欺。日本でも「オレオレ詐欺」などをはじめとして、一般の人が襲われる理由も分からぬまま犯罪者のターゲットとなり被害を受けるケースが急増していることが、さまざまなメディアで報じられ大きな社会問題として注目を浴びている現在。

本作ではなんとその詐欺に遭った本人が映画に出演、詐欺事件の恐ろしさを映し出すとともに、現代社会における人の生き方、家族の在り方などといった社会課題を問うています。

作品はスラムダンス映画祭やサンタバーバラ国際映画祭など40もの世界映画祭で多くの賞にノミネートされ、最優秀主演男優賞を含む受賞歴を獲得するなど、世界的に高い評価を得ています。

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映画『ジェリーの災難』とは

作品概要


定年退職後の男性が、1本の電話をきっかけに「違法行為に加担している」とだまされ、大変な詐欺に遭ったという実在の事件を実写化したドラマ。

ブルックリンを拠点に活動するロー・チェン監督が本作を手がけ長編デビューとなりました。また事件の実際の被害者であるジェリー・シューが自ら脚本・主演を務め、共演にも彼の実在の家族が名を連ねています。

製作年:2023年(アメリカ映画)
原題:Starring Jerry as Himself
監督・製作・脚本・編集:ロー・チェン
出演:ジェリー・シュー、キャシー・シュー、ジョシュア・シュー、ジェシー・シュー、ジョン・シュー、ニック・ベイリーほか
配給:ナカチカピクチャーズ

あらすじ

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長年アメリカで暮らしてきた69歳の台湾人男性ジェリー。妻とは離婚、会社では定年退職を迎え、3人の息子たちとも離れて気ままな独り暮らしを送っていました。

ある日、彼のもとに中国警察を名乗る連絡先から「詐欺の容疑がかかっている」と告げられ、連絡を取ると、自分が「国際的なマネーロンダリング事件の第一容疑者になっている」と告げられてしまいます。

逮捕して中国に強制送還すると言われたジェリーでしたが、連絡先の中国警察は「中国警察のスパイとして捜査に協力すること」で自身の容疑を晴らすことができると、協力を勧められます。

かくしてジェリーは彼らの協力を実行することに。その後数週間にわたり、指定された銀行の監視、写真撮影、極秘送金、さらに窓口係を探るなど、彼らの指示通りに「潜入捜査」を手伝いますが……。

詐欺集団の巧妙さ、恐ろしさの奥に見える「人の生き方を考える上での課題」

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この物語で描かれる「ターゲット」、ジェリーという男性はまだ会社を退職して1年という人物で、それなりの財産を築き株などの知識も持っている人物。一般的に考えれば「詐欺にはそう簡単に引っかからないのでは」とも思える人物像であります。

そんな彼が最後には犯行グループのなすがままに翻弄される姿は、私たち日常メディアなどから得ている詐欺の知識、イメージというものがまだ甘いと思わせられるほどに、巧妙で残酷であることを感じさせてくれるでしょう。

近年、実際にテレビなどから得られる詐欺の情報は、大抵の人がその問題に深い関心を寄せながらもその実例を見たことで「私は引っかからない」と考える人も多くいるはず。物語序盤では、ジェリー自身がその「私は引っかからない」と考える一人の人物であったように見えます。

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しかし物語の展開では、そんな彼がいつの間にかいとも簡単に詐欺の手口にまんまと引っかかり、「災難」に導かれていく姿が描かれていきます。その巧妙さはからは、おそらく多くの人が「ここまでやられたらお手上げだ」と思うのではないでしょうか。このストーリーが実話であることに、非常に恐怖感、不安感をおぼえることでしょう。

この物語で描かれる詐欺の手口を途中で暴き、犯人を裁きの場に引っ張り出すということは相当に困難であることが分かります。しかし一方で「なぜジェリーは狙われたのか?」、事件の発端となった糸口を探ることは、恐怖を回避するための大きなヒントでもあります。

それは、彼が私生活において頼る人がいなかったということ。犯人は事前にあらゆる手を使ってジェリーを詐欺に陥れるための突破口を探っていたことを、物語はにおわせています。

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この物語は、近年の詐欺事件ケースで見られる手口がかなり巧妙で恐ろしいものであることを示していますが、一方である意味家族の在り方、人としての生き方を改めて問う、普遍的なテーマに言及する物語であるようにも見えます。

物語では詐欺に遭遇した本人とともに家族がそれぞれの役柄で登場、見る人にこの社会問題を深く考えさせる秀逸な演技を見せています。一方で詐欺に遭遇したエピソードから、家族が父のことを改めて見つめ直すシーンなどは、事件後の悲惨さとは対照的に何らかポジティブな印象もおぼえることでしょう。

最後にジェリーが詐欺により大きな痛手を負いつつも一つの決断をし物語を終える展開は、ある意味ジェリーから詐欺犯たちへのささやかな抵抗、前向きな意思を示した報復であるようにも感じられ、映画という作品の力を感じさせる力強いメッセージ性を感じられます。

映画『ジェリーの災難』は2025年3月20日(木)より東京・TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ新宿ほか全国順次上映

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