実家、広島に帰ってきて自分でも不思議に思えるくらいに興味が向いているのが「野球」であります。
今改めて考えると、広島という場所における「野球」、広島東洋カープを始めとした県内での野球に対する注目性はハンパではなく、変な話ですが生まれて半世紀が過ぎながら野球への興味が出だしてから初めて「俺はようやく本当の広島県人となった」とか思っています(笑)。
で、野球の興味が向いたからこそ最近感じていることが、最近メディアなどで多く報じられている「大谷翔平」のことであります。数々の輝かしい記録が夜を賑わせている一方、今年は大谷がメジャーリーグを大きく揺るがすホームラン記録を出しました。
このときにはあちこちのメディア放送でこのネタを取り上げましたが、一つの報道が気になりました。あるラジオ放送でとあるラジオパーソナリティーが、知り合いの某有名俳優さんが「彼が野球をするときは、本当に『楽しそう』にやるよね。仕事としてやっているという感じではないんじゃないか」みたいな言われ方をしていたというのです。
その言葉に、私の中には「果たしてそれは本当なの?」という疑問が生まれました。
野球の「プロ」としてプレーする立場
まず大谷選手が「プロ」の世界で活躍する、という視点で、その立場のことを考えてみましょう。
そもそもプロとして野球をするということは、当然のことながら学校のクラブ活動や社会人の草野球とは違い常に結果を求められるという宿命を背負います。
日本のプロ野球選手でも常にプレッシャーを背負って競技に向かっており、普通の感覚でいえば「楽しむ」なんて無理ではないか、というレベルです。
ましてや日本のプロ野球よりはるかにビジネス規模の大きいメジャーリーグ、しかも優勝候補の一角と目されるドジャーズで、まさに「優勝請負人」という立場で雇われたわけですから、とんでもないプレッシャーをいつも背負っていることでしょう。
重圧に加え訪れた混乱
ドジャーズ移籍の前に、エンジェルスでの活躍というメジャーリーグでの実績は、そのステップに有利に働いているとも思えますが、それでも厳しい道であることは間違いありません。
さらにドジャーズのメンバーとしてプレーをスタートした第一試合。あのとき報じられた一つの内輪におけるトラブル話は、余計に彼を混乱させているに違いありません。
事件自体は報道の世界でどこかうやむやのまま闇に葬られたような感じでもある一方で、そんな諸々の重圧の上に混乱を背負って、未だ「野球が楽しい」などと本当に思いながら野球をしているとは、とても普通の感覚では考えられないように思います。
もちろんシーズンスタートに向けて、そして始まってからもさまざまな周囲のサポートはあったかと思いますが、それでもその重圧は成さなければならない目標に対しての大きな壁になっているのではないでしょうか。
大舞台での「強さ」の秘密
そう考えると、例えば野球をしているときに見せている笑顔は「作っている」ように解釈する方が、実はあっているかもしれないのではないかと思うのです。そしてある意味大舞台で見せる彼の強さの秘密は、野球の潜在的な能力とともに強靭な精神力にあるのではないか、と。
2023年に行われたWBCの最終試合、最後の打席で見せた、チームを鼓舞するように叫んだときの厳しい表情、そしてドジャーズが先日行った地区シリーズ第四戦、パドレスとの試合の際、2塁から思い切ってホームを狙い、結果アウトになった際に見せた怒りの表情。あの表情こそ実は彼の今の気持ちを示す本当の表情だったんじゃないか?などと自分には思えるところもあるわけです。
もちろん私は大谷選手と直接あったことがあるわけではなく、本当のところはどうなのか、なんてわかるはずはありませんし、これらのこと自体でなにかを批難するつもりもありません。大谷選手の活躍はどこか同じ日本人として誇らしい気持ちもあるし、さらなる躍進を期待したくもなるのは、多くの野球ファンと同じであると思っています。
ただ現在どこか報道に流されがちな傾向もある一方で、彼にも誰にも知られないさまざまな苦難はあるでしょう。どうか「ご自愛いただきたい」と願うばかり、心からそう願うばかりであります。