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「フェミニズム」を感じさせる映画セレクト その1「男女差別」の時代を改めて考えさせられる作品二選

生きづらさを抱えて
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フェミニズムとは、いわゆる性差別による「不当な扱いや不利益」を撤廃しようとする思想や運動を示す言葉で、男女という性別に関わりなく平等な権利が与えられるべきであるという思想を示します。

一方、近年発表されている映画作品の中では、この「フェミニズム」という思想に対するさまざまな問題提起を思わせる作品が数多く発表されており、私が「フェミニズム」を感じた作品をいくつか紹介してみたいと思います。

今回はその思想のもとともいえる、「性の差別」を感じさせる二作品を紹介します。

フェミニズムは、単に男性嫌悪や女性だけを支持するという思想に陥りがちな思想ではありますが、それはかつて「男女差別」という思想が社会的にも普遍的なものとして存在しており、初期には女性権利向上・女性尊重という方向をその運動が強く意識していたことが考えられます。

その意味で現代ではあまり見ることのない、当時の「普遍性」がどのようなものであったかを知る手掛かりであるともいえる作品であります。

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『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』

作品概要

(C)2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ファッションデザイナーを夢見て都会ロンドンの繁華街ソーホーにやってきた一人の女性が、下宿先で夢を介して遭遇する過去の恐ろしい事件により、次第に精神をむしばまれていく姿を描いたタイムリープ・ホラー物語。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』『ベイビー・ドライバー』などのエドガー・ライト監督が作品を手がけました。

またメインキャストには『ジョジョ・ラビット』『オールド』のトーマシン・マッケンジー、『クイーンズ・ギャンビット』シリーズのアニヤ・テイラー=ジョイらが名を連ねています。

公開年:2021年(イギリス映画)
原題:Last Night in Soho
配給:パルコ

ホラーの物語に込められた、哀しき古の女性の立場


エドガー・ライト監督の作品は、どこか絶妙なテンポ感や、映画という芸術性における細やかさ、完成度という点で高い評価を得ている作品が多い印象です。

一方、本作は先述の作品に比べると、テンポというポイントでは若干違う速さを見せるものの、主人公の女性が自身の夢の中で見る過去の出来事と、現在との行き来という点で非常に絶妙なリズムを見せており、かつホラーというグロテスクさと美しさというバランスの作り方も非常に優れたものであります。

物語に描かれた視点としては、現代を生きる女性と古の女性が虐げられた時代を生きた女性、その二つの視点が展開を形成しており、その悲惨な時代を生きた女性の生きざまが、ラストのアッと驚く展開でより強く訴求されるようにも感じられます。

もちろんホラー作品としても非常に見応えのある作品でありながら、今の時代においてフェミニズムを訴える意向が薄れかけている現代において、その原点を改めて考えさせられるような作品でもあります。

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『密輸 1970』

作品概要

(C)2023 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K. All Rights Reserved.

1970年代の韓国における海辺の町を舞台に、巨額な裏ビジネスであった密輸を巡り繰り広げられる騙し合いの行方を、実話をヒントに描いたアクション作品。2023年、第44回青龍映画賞で最優秀作品賞など4冠に輝きました。

作品を手がけたのは『モガディシュ 脱出までの14日間』のリュ・スンワン監督。メインキャストには『国家が破産する日』のキム・ヘス、『完璧な他人』のヨム・ジョンアらベテラン女優が出そろっています。

公開年:2023年(韓国映画)
原題:밀수(英題:Smugglers)
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス

泥臭くもたくましく、そして美しく生きる女性たちの姿


70年代の韓国は時代的に朴正煕(パク・チョンヒ)による独裁政権が国を治めた時代で、しかもまだ旧態然とした男尊女卑の考えが根強く残った時期でもあり、物語の女性たちは、男たちによる差別的な扱いに惨めな毎日を送っていたイメージが描かれています。

今の時代と照らし合わせると、なぜ彼女らがそのような扱いを受けていたのか、非常に疑問に感じることでしょう。

そして本作の痛快な展開、女性たちが虐げられながらも、目の前の壁に対して泥臭く、そしてたくましくぶつかっていく様は力強く、美しいとすら思えてくるところであります。

物語を通して見れば過去の慣例による不条理な風潮の不条理さと、社会的に男女平等を目指す意味の大きさを改めて考えさせられることでしょう。

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